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【騙されたと思って1本!!】「別マガ」ムービーガイド 『東京ジライヤ』花乃軍先生&担当が選んだムービー編

名作・駄作・カルト作。アクション・SF・ラブコメディ。映画はいろいろあるけれど、まだ観てない映画をもう1本。今回の推薦者は、「別マガ」12月号の巻頭カラーを飾った新連載『東京ジライヤ』の作者花乃軍先生と、担当者の佐藤さん。アクション、ホラー、コメディ、青春映画と幅広いジャンルからの推薦作になってま~す。編集部オススメの作品もおもしろいのでチェックしてみてね!

 

●TITLE『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』
己が信じる道を進め!

 12月号最初の推薦者は、新連載『東京ジライヤ』の花乃軍先生だ。1本目の推薦作は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』!
 キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)、通称キャップ。第二次世界大戦中“スーパーソルジャー計画”によって、身長160センチ、体重43キロの病弱な身体から、身長188センチ、体重104キロの強靭な肉体に生まれ変わった男。祖国と正義のためなら不屈の精神で悪と戦う! 大戦中、ナチスの秘密結社ヒドラを見事倒したが、敵の爆撃機もろとも北極海に沈み、なんと70年近く氷漬け!? その後 S・H・I・E・L・D・(シールド=国際平和維持組織)によって現代に復活した! それからはシールドの上官ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)の下、エージェントとして国のために働いていた。とは言うものの、彼の生まれ育った時代と現代の違いは大きい。スマホを操作できるようになっても、出会い系アプリを使うのは昔かたぎの彼(なんせ1918年=大正7年生まれ)にとってハードルは高い(はずに違いない!)。
 昔はナチスやその秘密結社と戦い、世界の平和を守ることが出来たキャップも、情報とテクノロジーによって複雑化した世界は、信頼に足らず、理解しがたい。
 そんな彼が直面したのはシールドが進める“インサイト計画”である。衛星とリンクした防衛システムを搭載した3機の新型ヘリキャリア(開発者はアイアンマンことトニー・スターク)を使い、衛星がテロリストのDNAを読み取る。そして長距離機関砲で彼らを抹殺! しかも1分間で1000人! この計画に対し、キャップは“全人類に銃を突きつけるのか”と反対するが、上司であるフューリーは“シールドは物事を現実的に見る。君もそろそろ我々の方針に慣れろ”と言うばかり。
 そんな中、フューリーがウィンター・ソルジャーと呼ばれる謎の暗殺者によって殺害される。だが彼は死ぬ間際、キャップにUSBメモリーを渡し、忠告していた。“誰も信用するな”。シールドは、フューリーを裏切り者と判断し、キャップも彼の仲間だとして捕らえようとする。
 USBの中身は? ウィンター・ソルジャーの正体は? そして暗殺者を操る黒幕は? シールドに追われるキャップは、唯一信用できるアベンジャーズ の仲間、ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)と真相解明に乗り出すが……!?
 品行方正、正直者で、正義のためなら命も投げだすキャップが、正義とは何かと悩みながらも、己を貫こうとする姿は現代のヒーローである。
 花乃軍先生は“キャプテン・アメリカの盾のアクションがすごくカッコいい。オモテ(新連載の作中に登場する武器で、仮面のことです)もカッコよくしたいと思っている”のだそう。先生がおっしゃる通り、星のマークが付いた あの盾(こちらもトニー・スターク作)を使ったアクションは超絶カッコいい! 和風アクション新連載『東京ジライヤ』を読んだ後は、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』。和洋アクション三昧だ!

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『メガマインド』
こちらはスーパーヒーローを倒してしまったヴィラン(悪役)の悩みを描いたアニメ。

 

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』

ディズニープラスで配信中
© 2022 Marvel

 

●TITLE『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』
過去から続く穢れの恐怖とは!?

 花乃軍先生、推薦作2本目は『残穢―住んではいけない部屋―』。ベストセラー作家小野不由美の作品の実写化ホラーである。
 穢れ=不浄の汚れ。死・出産・疫病・失火・悪行などによって生じ、災いや罪をもたらすとされる。
 作家の“私”(竹内結子)は怪談雑誌に読者から投稿された奇妙な体験談を短編にして発表している。
 そんな私に女子大生の久保さん(橋本愛)からの手紙が届く。彼女が住んでいるマンションの部屋で奇妙な音がするというのだ。好奇心から私は久保さんの住むマンションへ向かう。そこは築10年5階建てのマンションだ。
 久保さんの言う奇妙な音とは、着物の帯が畳を擦るような音であり、それは首吊りを連想させる。しかしそのマンションで誰かが首吊り自殺をしたことなどない。というか、どんな事件も起きていない。だがそのマンションには、住人が頻繁に入れ替わる部屋があり、かつてその部屋に住んでいた人物は自殺をしていた。これはもしかするとマンションではなく土地に問題があるのではないかと考えた2人はマンションが建つ土地の歴史を調べることにする。すると、繫がりはないものの、よくない(異常な?)出来事が数多くあったことが判明する。
ゴミ屋敷に住む老人の孤独死。ボケたお婆さんの奇妙な行動。家庭内暴力・放火・病的ないたずら電話で家庭崩壊を招いた青年。表情が変わる美人画……。
“私”はこれらを、何かその土地の“穢れ”に触れてしまった人たちではないかと考えるようになる。この話を耳にした作家仲間や心霊マニアの青年も加わり、さらにその土地の過去とそこに住んでいた住民の周辺を調べていくと、娘の結婚式の後に首吊り自殺をした主婦、連続嬰児殺しの女、精神を病み座敷牢に入れられた青年の存在が明らかになっていく。それらの出来事は、怪談にはよくある話で、作家仲間も“同じような話を聞いたことがあるな”と不思議がるが、次第にそれらは繫がり始め、作家仲間は“手繰っていくと根は同じ、業が深い、いわゆるヤバイ話ってやつですよ。取り扱いを間違えるとひどい目にあう”と言い出すのだが……。
 ホラー映画なので怖いのは当然なのだが、この映画のマジ怖いところは、“穢れ”に触れた者が、無作為に犠牲になってしまうことだ。久保さんが住んでいたマンションの住民の中には問題なく暮らす人たちもいるし、越したにも拘らず、時間を経てから恐ろしいことが起きる人もいる。しかも“穢れ”は過去に由来するものだから、その過去を知らない者には避けようがない。
 映画を見た後、畳を擦る音、赤ん坊の泣き声、不気味ないたずら電話が聞こえてきそうだ。一人暮らしをしている怖がり読者には、注意が必要な映画かも。
 ちなみに花乃軍先生は“ホラーが好きで、新連載一話の描写にもホラーみが少し滲んでいる”と仰ってます。

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『イット・フォローズ』
それ(イット)に捕まったものは死ぬ。でもそれは人にうつすことができるというホラー。

 

『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』

好評発売中
ブルーレイ:5720円(税込)
DVD:4620円(税込)
発売元:株式会社ハピネットファントム・スタジオ
販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
©2016『残穢-住んではいけない部屋-』製作委員会

 

●TITLE『南極料理人』
クスっと笑って、なんだか感動の不思議ムービー

 12月号2人目の推薦者は花乃軍先生を担当する佐藤さん。男子が多い編集部の中で頑張っている女子の編集者。“ムービーガイド”2度目の登場だ。
 推薦作1本目は『南極料理人』。ちょっぴりズレてて変わっている人たちを、おもしろ温かく描く作品の多い沖田修一監督作だ。
 沖田監督の作品はみんなそうだが、この作品もそのおもしろさを文字で説明するのは難しい。間の笑いとでもいうか、大笑いではなく、思わずクスっと笑ってしまう台詞や演出のせいである。
 一人の人間が1年に食べる食糧、およそ1トン弱。と言われても、これが多いか少ないかは判断が難しいところだが、この作品の語り部である西村淳(堺雅人)は海上保安庁の主計士である。そしてなぜか南極地域派遣隊の一員として、南極沿岸部にある昭和基地からおよそ1000キロ離れた内陸部の山の上に位置するドームふじ基地に、隊員8人分の食事を作るために派遣される。もちろん単身赴任である。
 ドームふじ基地は、内陸にあるため可愛いペンギンやあざらしもいない。あまりに寒くてウィルスさえ存在しない。平均気温がマイナス54度。しかも山の上。標高3800メートルは富士山よりも高い。そんな基地に男8人で1年間、それも狭い基地の中で暮らさなくてはならない。むさ苦しい男たちとの生活は(最初はむさ苦しくなくても時間が経つとむさ苦しくなってゆく)考えただけでもげんなりするが、本当は……やっぱりげんなりである。
 用を足してる隊員を眺める隊員(トイレの扉が異常に小さいため。普通は目をそらすものだが)。伊勢海老と聞くとなぜかエビフライを食べたがる隊員(普通なら刺身。エビフライに伊勢海老の頭は付かないでしょ)。マイナス70度の屋外で、なぜか裸で記念撮影。しかし男だけでいるとなんでこうなるのか。昔、ある女子が“女子だけで旅行にいくとなぜか変なことに巻き込まれるのよねえ”と言っていた。これに対して男は“男だけで旅行に行くとなぜか変なことをしちゃうんだよ”。まあ、男とはそういうものなのか。だがそんな隊員たちにも悩みはある。離れ離れになっている恋人が急によそよそしくなったり、好きな仕事が南極でしか出来ず、家族の理解を得られなかったりである。
 唯一大人な料理人の西村は、そんな男たちのために、美味しい料理を作り続けるのだが……!?
 イマイチしまらない男たちの脱力系ハートウォーミング・ムービーだ。 

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『横道世之介』
沖田修一監督作をもう1本!

 

『南極料理人』

発売中
ブルーレイ:4180円(税込)
DVD:4180円(税込)
発売・販売元:バンダイナムコフィルムワークス 
©2009『南極料理人』製作委員会

 

●TITLE『スタンド・バイ・ミー』
忘れがたい少年時代の冒険とその輝き

 佐藤さん推薦作2本目は『スタンド・バイ・ミー』。ホラーの帝王、スティーブン・キングの中編小説の映画化である。スティーブン・キングの小説の映画化は数多くあるが『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』などと並んで傑作と評される作品で、同時にホラーではない作品でもある。
 ゴードン・ラチャンスは、新聞のとある記事を読み、自分の少年時代を思い出す。親に嘘をついて、仲の良い4人組で遠出した、少年時代の夏の冒険。その冒険とは、死体を探す旅だった……。
 ゴーディ(=ゴードン)、クリス、テディ、バーンの4人は仲の良い友達だった。ツリーハウス(彼らの秘密基地)で、タバコを吸い(吸っちゃダメだけど)ポーカーに興じたりして(お金はないけど)、退屈な夏を過ごしていた。
 そんなある日、バーンがとんでもないニュースを運んでくる! 彼らの住む町で、行方不明になった少年が死体となって、30キロ先の森に放置されているというのだ! 不良の兄とその仲間が話しているのを偶然バーンが耳にしたのだ。兄たちは、訳あって少年の死体を発見したことを大人たちに話すことができない。そこで4人は最初の発見者になろうと、死体探しに繰り出すのだが……!?
 少年時代の冒険とは、それがどんなものであれ大人になるための儀式のようなものだ。4人の少年たちはそれぞれ問題を抱えている。どれも子供の彼らには、解決できないような問題だ。ゴーディは優秀な兄を事故で失い、兄より劣る自分に父親が失望していることに深く傷ついている。グループのリーダー格であるクリスは、賢く勇敢であるが、アルコール中毒の父親、不良の兄のせいで自分の未来を諦めかけている。戦争で精神を病み、自分を虐待する父親を持つテディ。だが彼は父親を深く愛している。やはり不良の兄を持つバーンは、兄が怖いし、自分が仲間の中で劣った存在であることに苛立つ。
 だが、彼らの冒険は、仲間と共にあり、お互いを支え合うもので、大人の男へのステップだ。たとえ、問題が解決しなくとも、時が経ち仲間と疎遠になったとしても、その輝きは永遠である。
 この作品で注目されたのはクリスを演じたリバー・フェニックス。前途有望な役者だったが麻薬の過剰摂取で死亡。享年23歳。
 ゴーディが映画冒頭に読んだ新聞記事は、クリスの死亡記事だった。苦労して弁護士になったクリスは、喧嘩を止めようとして、刺されたのだった。現実も映画も悲劇的な結末だが、それでもこの作品の輝きは、少年たちのあの夏と同様に変わることはない。

 

▼編集部オススメ、もう1本!
『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
キング小説の青春映画。こちらはホラー。

 

『スタンド・バイ・ミー』

発売・デジタル配信中
ブルーレイ:2619円(税込)
DVD:1572円(税込)
4K ULTRA HD 5217円(税込)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©1986 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 

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