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『シュート!の世界にゴン中山が転生してしまった件』を読んだら、サッカーが上手くなるんじゃなかろうか。

f:id:magazine_pocket:20201003094817j:plainパラアスリートの佐々木です。

 

最近、異世界転生系の漫画をよく読んでます。主人公がある日突然異世界に飛ばされて、チートになったり、ハーレム作ったり、魔王倒しにいったり……ちょっとうらやましい。いや、めちゃめちゃうらやましい。

 

現実世界なんてそう上手くはいかないし、頑張っても報われないことばかり(笑)。

 

もしかして、異世界転生作品って社会全体の閉塞感とか生きづらさとか、成功者に対する嫉妬や羨望とか、私、このままでいいのかな……みたいな気持ちを受け取って解消させてくれているのかも?

 

歴史に「たられば」はないといいますが、漫画にはたくさんの「たられば」がある。

 

そんな「たられば」はトレーニングに活用できるんじゃ? と考えたところでつくづく自分はアスリートなんだなぁと実感しました。

 

漫画好きなパラアスリートが、漫画から毎日を「ちょっとだけ楽しくする」ヒントを解説。

 

今回は外池達宏先生(原作:大島司先生)の『シュート!の世界にゴン中山が転生してしまった件』をご紹介。

 

サッカー漫画の金字塔である「シュート!」の世界に、元日本代表のゴン中山選手が転生する。でも、なんだか上手くいかなくて空回ってばかりというストーリーには僕も思わずハマってしまいました。 

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異世界転生したのに負け続ける、悲劇のゴン中山選手

僕は小さい時から「好きなサッカー漫画は?」と聞かれれば、「シュート!」と答えるほどでした(お世辞じゃないです)。久保さんが倒れる第7巻は涙なしでは読めないから封印したぐらい……ヒロが出てくる久里浜のサッカーも好き。

 

映画版の久保さんはキムタクだったよねとか、アニメの主題歌は森口博子だったなとか(今でも歌える)、そういえば、ヒロは小児麻痺だったから身体に障害がある自分とちょっと重ねてたなとか。

 

本当に『シュート!』愛が深い。

 

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「トシ、サッカー好きか?」
この言葉だけで涙が止まらない。

 

この『シュート!の世界にゴン中山が転生してしまった件』で面白いのは、ゴン中山選手の転生先が主人公が通う”掛川高校ではない”ところ。普通なら、ゴン中山選手が掛川高校の一員となって、トシや和広、健二とともに戦っていきそうなのに、対戦校のほうに転生し続けます。

 

そして負け続ける(笑)。

 

たしかに、ゴン中山選手が掛川高校に転生したら「どのメンバーと変える?」ってなっちゃいます。むしろ転生してこないほうが掛川は強いんじゃないの?って思っちゃうほど、あの11人のチームなんですよね(ゴン中山選手ゴメンナサイ!)。

 

とは言え、個人的には、対戦校の選手にフォーカスを合わせてくれているのが嬉しいストーリーです。

  

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1話目から元日本代表のスターの実力がまったく通用しない異世界転生。
この間まで中学生だったメンバーにボロボロにやられるゴン中山選手の背中には、哀愁が漂います。

  

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『シュート!』の世界は1990年代ですが、2020年から転生するだけあって、高校サッカーネタで有名な「大迫、半端ないって(※)」「そんなんできひんやん普通(※)」をオマージュしたセリフが入っているのは、サッカーファン、そしてサッカー漫画好きにはたまらないかもしれません。

 

※この2つの言葉はサッカーファンなら誰でも知っている大迫勇也選手を讃えた言葉。ワールドカップが開催された2018年(大迫選手も代表として出場)には流行語大賞トップ10にも入りました。

 

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試合に負けるたびに事故に遭い、次の高校へと転生していきます。もちろん、掛川高校と対戦する高校に。

 

『シュート!』ファンとしては、浜野高校から取り上げてくれるのは非常に嬉しいところ。小坂部! 懐かしすぎる!!

 

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掛川高校のライバルといえば、藤田東高校。
モチーフとなった藤枝東高校は、ゴン中山選手の母校。母校愛に詰まった一コマも散りばめられています。

 

f:id:magazine_pocket:20201003095149p:plainこの『シュート!の世界にゴン中山が転生してしまった件』は、ゴン中山選手が『シュート!』の世界に転生したら?という「たられば」のストーリー。

 

50歳を過ぎてもなお現役であり続けるゴン中山選手のこれまでの経験、技術、アイデアなどが、『シュート!』の世界でどのように役立つのか、そもそも通用するのかといった点をコメディタッチで描いています。

 

漫画を通じて、現実世界と空想世界を行き来していますが、これは現役アスリートの観点で見ると、イメトレ(イメージトレーニング)と似ています。

 

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アスリートにとって、日々欠かすことのできないものがトレーニングです。

 

トレーニングといえば、腹筋、腕立て伏せ、ダンベル、ベンチプレス……マッチョな身体を作るためのメニューがイメージしやすいですが、忘れてはならないのが「イメトレ」です。

 

例えばサッカーが大好きだと、自分があのチームにいたらどんなプレイをするかなあと考えるだけで、ご飯どんぶり何杯かはいけるはず。そしてちょっとこう思うはずです。

 

「俺、上手くなったかも……」

「俺、あのチームでもやれる!」

 

まあ、そんなことはありません(笑)それで上手くなれるなら、日々の練習ってなに?ってことになってしまいます。

 

しかし「自分があのチームにいたら、こんなプレイをするだろう」と考えることで、自分のプレイの引き出しが増えます。引き出しを増やし、イメージを重ねていくと、こんな選手になりたいなという目標が描きやすくなります。

 

目標が描ければ、どんな練習をすればいいかが分かりやすくなる。イメトレが上達への近道であることは揺るぎません。

 

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サッカーでいえば、プレイのほとんどを足で行うものだと考えがちですが、一概にそうとは言えません。

 

足のこの部分でこのくらいの強さで蹴ったら、こう飛んでいく。

 

何回も何十回も何百回も繰り返し練習していくことで技術は上達しますが、これは「足が記憶している」のではなく「経験によって脳が理解して、足の動きにつながっている」のです。

 

弱く蹴ったら?
強く蹴ったら?
違う角度で蹴ったら?

 

「たられば」をいくつも考えて練習すると、何も考えずに練習する人よりも格段に上手くなります。さまざまな切り口の経験を意図的に積み重ねているのだから、当たり前です。

 

これは野球にも、バレーボールにも、卓球にも、他のスポーツにも言えることですし、料理にも、ピアノにも、ギターにも、ゲームにも、カメラにも言えること。

 

「たられば」を意識した数だけ、その道のスペシャリストに近づけるのです。

 

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漫画が好きな人は、自分がその漫画の世界にいたら、この登場人物だったとしたら、などといったたくさんの「たられば」を妄想しているはずです。

 

アスリート的観点で「たられば」をイメトレとして説明しましたが、「たられば」自体はそもそも心を豊かにしてくれるものです。

 

漫画のストーリーを楽しんだ後は、その世界に転生して2度目を楽しむのがいい読み方じゃないかなと信じています。

 

マンガって、すごい。

 

佐々木一成 profile

『ブルーロック』に学ぶ、「出る杭」になる覚悟と勇気

WEBメディア「Plus-handicap」編集長。生まれつき両足と右手が不自由な義足ユーザー。国際スポーツ総合競技大会の正式種目であるシッティングバレー日本代表候補。

 

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