『Fairy gone』コミカライズ第1巻発売記念インタビュー!
TVアニメ『Fairy gone』監督の鈴木健一が語る『Fairy gone』秘伝の書!
10月より第2クールが放送開始となるTVアニメ『Fairy gone(フェアリーゴーン)』。完全オリジナルの超大型ファンタジーアニメとして反響を呼んだ本作の制作秘話を監督の鈴木健一さんにお伺いしました。
この記事と漫画本編をじっくり読んで、多くの謎が散りばめられた妖精兵の世界にダイブしよう!
目指したのは大人のダークファンタジー
──Fairy goneの監督を引き受けることになった経緯をお聞かせください。
鈴木監督:
P.A.WORKSさんから、「オリジナルのファンタジーアニメを企画しているんですけれど、興味ありますか?」という話をいただいて。大人向けのオリジナルアニメの仕事は初めてだったので、ほぼ即答で「めちゃくちゃ興味あります」と答えました(笑)。子供の頃から、ファンタジー系の作品が大好きだったんです。
──今回のアニメ制作にあたって、監督のこだわりはどんな部分にありますか?
鈴木監督:
妖精のルックスをダークファンタジーっぽく作りたいと強く思っていました。
それと、キャラクターの心情や絵作りを海外ドラマや映画のように大人っぽくやりたいなと。1クール目だけを切り取ると未消化でわからない部分を感じるかもしれないんですけど、最終話まで通しで観た時に、「あれとあれが繫がっていたんだ」と、色々な発見がある。そんなアニメになっていると思います。
観れば観るほど虜になる。作り込まれた世界観の魅力
──Fairy goneの世界観はとても緻密に作り込まれていますが、苦労した点はありますか?
鈴木監督:
登場するキャラクターや組織の数が多いところですね(笑)。
文化の違いも細かくあるので、まず世界地図を描き始めるところから、情報を整理していきました。腕章や国章も、水が豊かな国なら、水をベースにデザインしたり、統一戦争前からのドロテアの服装の系譜を考えたり。
シリーズ構成・脚本の十文字さんがすごく作り込まれる方なので、ビジュアル側もそれに負けないように、使っている備品や調度品、建物の外観など19世紀後半から20世紀初頭をベースにして、細かく仕込んでいきました。ぱっと見ではわからなくても、出てくるプロップや美術背景について、ちゃんと説明できるようになっています。
──物語の中心を、戦争中ではなく戦後に設定したのはなぜですか?
鈴木監督:
戦争によって違う道を歩んでしまった人たちの再起の物語を描きたいと思ったからです。
もちろん、戦争中にも色々なドラマはあると思いますけど、戦後の方が、それぞれの想いは強くなると思うんですよね。戦争の被害にあった人、戦争に参加した人、戦争を起こした人の心情の変化がドラマになって、人を惹きつけるのだと思うのです。
日本で幕末があれだけ人気なのは、そういったことがあるんじゃないかなと思っていて、プロデューサーとも幕末をやりたいよね、と話していたんです。
──ドロテアや妖精など、Fairy goneならではの設定は、どのように発想されたのでしょうか?
鈴木監督:
そもそも戦争中に妖精が武器として使われているなら、戦後は妖精を取り締まる機関が必要になるはずです。取り締まる側も、妖精を使わないと対抗できないだろうということで、ドロテアという組織の設定が固まりました。
それと、妖精については闇雲に出すというより、ベースが欲しいなと思って、「童話をモチーフにしましょう」という話をしました。すべての妖精は童話や神話などから着想されています。
最初の設定で主人公は男性だった!
──本作の主人公であるマーリヤとフリー、この2人はどのようにして生まれたのでしょうか?
鈴木監督:
実は最初の設定で、主人公は男性でした。でも、私から「女性でやりたいです」と提案させて頂いて、マーリヤというキャラが生まれたんですね。
ファンタジーもので男性の主人公だと、どうしても「大義のために」となりがちですけど、女性の主人公であれば、生まれた環境も含めて様々な心情を丁寧に描けるんじゃないかと。そうやって、女性が引っ張っていくドラマを作りたいと思っていました。
──1話目から見て、監督の中で、キャラクターは変化していきましたか?
鈴木監督:
日々、変わってきていると感じますね。シナリオの段階でキャラのイメージはありましたけど、セリフを作ったり、みんなで考えたりしてるうちに、マーリヤだったりフリーの存在が制作チームの中で根付いてきて、そうすると「こういう風に喋るんじゃないか」というのも自然にわかってきます。
アフレコを進めていくなかで、キャラもだんだんと濃くなっていったので、芝居に悩むことも少なくなってきました。
注目してほしいのは 「ラスボス」の正体
──TVアニメ放送と同時期に、別冊少年マガジンでもコミカライズ連載がスタートしました。漫画になってどのように思われますか?
鈴木監督:
嬉しいです。アニメと違って、漫画は自分の好きな時に、好きなリズムで読めますから、読者それぞれのFairy goneを見つけられるんじゃないかと思います。
──Fairy goneの魅力って、どんなところにあると思いますか?
鈴木監督:
Fairy goneは大河ドラマ。だから、観てすぐにわかる物語じゃない。そこが一番の魅力だと思っています。
十文字さんの脚本は、すごく先まで想像して緻密に構築されているので、何回も観ることで、良くわかってくるし、没入していける。カタカナ語が多くて最初はわからないけど、どんどん面白くなっていく外国の小説を読む感覚に近いかもしれません。
──これからFairy goneを見る人に、アニメの注目ポイントや楽しみ方を教えてもらえますか?
鈴木監督:
たくさん登場する悪そうな奴らの誰がラスボスなのかを考えながら観て欲しいですね。そうすれば、こいつは何のために動いているのかとか、良くわかってくると思います。
それと、セリフはすごく細かく精査しているので、何気ない会議シーンでも、「このセリフは本心なのか?」と注意深く聞いてもらえると、非常に面白く見れると思います。色々なシーンの難しそうなセリフが、実は重要な意味を持っていたりしますので、要注目です。
──最後に、「別マガ」読者にメッセージを頂けますでしょうか!
鈴木監督:
マーリヤから、フリーから、ウルフランから、ヴェロニカから……目線を変えて何度も観て頂けたら嬉しいです。敵キャラなんかはみんな暗躍してますから(笑)。
あとは、エンディングの絵ですね。そこに、どういう意味があるのか、想像しながら観ていただけると、面白いかなと思います!
TVアニメ『Fairy gone』第2クールは10月よりTOKYO MXほかで放送を開始します!
第1クールは各プラットフォームにて配信中!
この機会にぜひご覧ください!
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