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「新連載の題名はくじで決めました」 真島ヒロ先生、YouTube番組に初出演 企画に挑みながら新作の裏話語る【EDENS ZERO】

 「毎日、テレビよりも先にYouTubeを開いて好きなゲーム実況を見ています」

 「ゲーム好きなんでマガジンのYouTubeチャンネルでゲーム実況やりましょうか!」

 

 からっとした笑顔でYouTubeへの愛を語るのは、『RAVE』『FAIRY TAIL』で知られる真島ヒロ先生

 

 前作の完結から11カ月、6月27日発売の週刊少年マガジンで新作『EDENS ZERO(エデンズゼロ)』を連載開始したばかりですが、このたびYouTubeの番組に初出演を果たしました。登録者数130万人超を誇る人気YouTubeチャンネル「ボンボンTV」です。

 

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「ボンボンTV」に出演した真島ヒロ先生(左から2番目)と、レギュラー出演しているYouTuberのりっちゃん、よっち、なっちゃん(左から)

 『FAIRY TAIL』が魔導士ギルドという1つの拠点を舞台していたのに対し、『EDENS ZERO』は主人公たちがいろんなところを飛び回る“冒険”の物語。さらにヒロインは冒険しながらWebに動画を投稿するという、過去の真島作品だけでなく少年漫画としても新鮮な、YouTuberのような要素を持ったヒロインとなっています。

 

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新連載『EDENS ZERO』

 そこで真島先生は「YouTuberの撮影現場を取材してみたかった」という目的、さらには過去に「ボンボンTV」の前身『コミックボンボン』で『プルーの犬日記』『MONSTER SOUL』を連載したという縁もあって、番組に出演。

 レギュラー出演の3人のYouTuber、よっちりっちゃんなっちゃんとともにイラスト企画に挑戦しました。

 

 番組では真島先生が漫画家歴20年の画力で出演者を沸かすとともに、トークで新連載の裏話も明らかにするなどアツい内容となりました。収録現場の模様をざっくりレポートします。先生のサービス精神ハンパないって……。

 

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真島先生持ち前の明るさもあって賑やかな収録に

 

  • 「読者が読みたいものを」 信念から生まれた動画配信ヒロイン

 「漫画家を目指したきっかけは?」「ネタはどういう風に考えているか」「タイプの女の子のキャラは?」などなど、真島先生は企画に挑みながらも番組の質問に次々と答えていきます。

 

 『EDENS ZERO』のヒロイン・レベッカについては、「新しい世界にしたかった」「冒険漫画で動画投稿をやっているヒロインはみたことなかった」という理由から動画配信者にしたことを明らかにすると、スタジオは大興奮。

 

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ヒロインのレベッカ。チャンネル登録者数100万人をめざす動画投稿者。かわいい……

 漫画家の心がけとして「常に読者が読みたいものを描きたいと思っています」と踏まえた上で、新ヒロインについて次のようにも説明しました。

 

 「今の若い人たちってYouTuberになりたい人たちが多いですし、僕自身もYouTubeを見るのが好きです。とりあえず最近のトレンドを取り入れてみて、読者がどんな反応するかはわかんないですけど、読者が見たいものになっているといいな、という思いで描いています」

 

 またタイトルについては驚くべきエピソードも告白しました。

 

 「『EDENS ZERO』ってタイトルなんですが……実はなかなか決まらなくて、いろんな単語を書いた紙を200個くらい紙袋に入れて、引いた2枚で決めたんです(笑) 引いたときにかっこいいなと思ったので、すぐさま検索して、まったく検索に引っかからないぞ、これにしちゃおう、と決めました」

 

 実は『EDENS』と『ZERO』の2枚は一発で引き当てたわけではなく、何回も引き直しの末に決定したとのこと。単語はスタッフみんなで書いていったものを紙袋に入れていたので、「なんで『CANDY』なんて単語入っているの? 使わねーだろ!(笑)」みたいなやり取りもあったと顔をほころばせます。

 

 しかし一方で、「くじ引きですけど、この『EDENS ZERO』が後々すごく意味のある言葉になってきます。ぜひ楽しみにしていてください!」と伏線を匂わせる発言も。念頭に入れて連載を追いかけたいところです。

 

  • 3色色えんぴつチャレンジ対決

 

 1つ目の企画は「3色色えんぴつチャレンジ対決」。

 YouTubeで流行っているという「3色マーカーチャレンジ」の色えんぴつ版で、真島先生がその場で描いてくれた下絵に、赤・青・黄色の3本で誰が一番うまくカラーを塗れるのかを競います。挑むのは真島先生、よっち、なっちゃんの3人。

 

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PCで打ち合わせしてから対決に臨む4人

  下絵はレギュラー陣が好きなキャラを描いてくれるということで、ナツルーシィエルザをリクエスト。

 真島先生は「だいぶ前に連載が終わったから、忘れているかもしれません」と不安を口にしながらも、サインペンを使って1枚1分ほどで完成させていきます。線に迷いがない。「やべー」「うわー」「今にもしゃべりだしそう……」と興奮の声が漏れ続ける現場。

 

 対決がスタートすると、「色塗りおもしろいですね!」と真島先生は笑顔でエルザに色を重ねていきます。よっちとなっちゃんが色を塗り終えますが、先生は「まだまだこれから」と筆を斜めにしてさらにシャカシャカ描き込みを続行。

 はっきり言って素人目からはもう上出来といえる完成度なのになぜ……現場一同で見つめていると、時間が経てば経つほどエルザは色鮮やかになっていきます

 なんなんだこれは。

 

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赤髪の中に青色を入れて陰を付けたり、甲冑の光沢がさまざまな色で表現されたり……3色の色えんぴつってここまでできるのか……

 「3色とは思えない……

 「陰が違う」

 「やばい」

 「さらに深くなった」

 「色えんぴつとは……?

 「絵の具みたいに色えんぴつもここまで色が混ざるんだ」

 

 進化していくエルザに、目を丸くして称賛の言葉を積み重ねていく3人。プロの犯行を前に戦いを放棄。これは誰も悪くない……。

 

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完成した3枚。左から、真島先生のエルザ、よっちのナツ、なっちゃんのルーシィ

 

 「実は3色は上級者の技なんです。この色とこの色をこれぐらいの確率で混ぜたらこの色になる、という予測がつかないといけないという」

 と極意も明かしてくれた真島先生。幼い頃から培った画力で圧倒しました。

 

  • てきとうアート対決

 

 第2ラウンドの「てきとうアート対決」。

 前もってスケッチブックに適当に引かれたひょろひょろの線に、新たな線を描き足して行くことでイラストを完成させるという、発想力が問われる企画になります。

 

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真島先生とよっちのスケッチブックに引かれた適当な線。こっから線を加えて絵を完成させます

  真島先生の紙にはりっちゃんが適当に線入れ。「√」を逆にしたような字、「V」の字など、力抜けた線が4つバラバラに配されました。

 先生は「プロとして負けられない」「いやー、何描けばいいんだろう」とこぼしながら、1分ほど考えた後、躊躇なく線入れを開始します。

 

 2分半もすると、「√」のような線が『RAVE』のグリフの輪郭に、「V」がプルーのとんがり鼻にと、ひょろひょろ線が真島作品のキャラに変身

 3分半後には遊園地でグリフとプルーとハッピーが遊び回るファンタジックな一枚絵へと発展します。

 

 「やばい」「すごすぎる」と語彙を失うりっちゃんとなっちゃん。「自信を失いたくないから」と背を向けて自分の作品に没頭する、対決相手のよっち。

 

 「楽しい。童心に返っているみたい」「ずっと描いていられますよ」と先生は口を緩ませながら描き込みを続けます。ベタも入れて、遊園地の世界にメリハリを付けていく。サインペンの音が止まらない。

 

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10分くらいでこうなった

 最終的に連載の扉絵としても使いたくなる、真島ワールド感あふれる賑やかなイラストが完成。

 現場からは「かわいすぎる……」「ストーリーが見える」とため息が漏れます。よっちは満を持してイラストを見るや、「うわあ゛あ゛っっ、何ごれっ!?」と奇声を咆哮。誰も悪くない……。

 

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よっちの作品も4人の似顔絵を配した絵心あふれる1枚に。真島先生も「実はうまい!」と称賛していました

 

 普段から扉絵は楽しんで描いているという真島先生。Twitterでも頻繁にイラストを投稿しているのはファンサービスだけでなく「やはり描いていて楽しいのもあります」と、絵への愛を口にしていました。

 

 3色の色えんぴつで多彩なカラーを生み出す技術、へなちょこな線から扉絵のような一枚絵を10分で完成させるセンス……

 企画で披露した卓越した画力は、「絵を描くのが好き」という自然体があるからこそ培われてきた。真島先生の生き生きとした表情と手付きから、そんな人気漫画家の本質を肌で感じさせる番組収録となりました。

 

 収録を終えて「撮影現場の雰囲気が勉強になりました」「ますますYouTuberのことが好きになりました」と振り返った真島先生。

 ボンボンTVの3人とは「いつになるかはわかりませんが、いつかみなさんを『EDENS ZERO』にちょろっと登場させます」と熱い約束も交わしていました。今回の収録が真島先生の作品にどう活かされていくのかにも注目です。

 

www.youtube.com

 

 真島先生が出演した番組は「ボンボンTV」ですでに配信中。4人の和気あいあいとした空気、先生のペンさばきを動画で確認しましょう! よっちが真島先生の絵を見たときにあげた奇声、文字では起こせない新しい発音だったので、ぜひ音声で聞いてほしいです。

 

黒木貴啓