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真面目に馬鹿なエロをやる! 『デスティニーラバーズ』智弘カイ先生インタビュー

マガポケ髄一のエロティック作品『デスティニーラバーズ』。
2018年に『デスラバ』の続編としてスタートした本作は、あるウイルスによって非童貞が「リア獣」と呼ばれる化け物に変わってしまう世界を描いた、絶望ロマンティック・サバイバル。

限界ギリギリのお色気シーンと大真面目なシュールギャグをかけあわせた世界観で、絶大な人気を誇ってきた本作が、ついに最終局面に突入。

 

これまでの連載を振り返りながら、漫画担当の智弘カイ先生に、エロかわいい女の子を描くための工夫や制作秘話について、お話を伺いました。

 

●アプリ掲載のため、『デスラバ』から『デスティニーラバーズ』へ

──『デスティニーラバーズ』は、マガポケのWEB版で連載していた『デスラバ』の続編作品になります。『デスティニーラバーズ』の連載が決定するまで、どのような経緯があったのでしょうか?

 

智弘カイ先生(以下、智弘):
まず、『デスラバ』と『デスティニーラバーズ』の大きな違いは、『デスラバ』で“原作”だったカズタカ先生が、『デスティニーラバーズ』では “原案”の担当になっていることです。カズタカ先生が生み出された『デスラバ』をもとに、僕が試してみたい構想を担当さんとカズタカ先生に相談したことがきっかけで、このような体制になりました。それと、『デスラバ』が大人の事情でアプリ版のマガポケに載せられなくなってしまったのも大きな要因ですね。アプリでも読んでもらえるように、一度仕切り直すことになりました。

 
『デスラバ』(原作/カズタカ 漫画/智弘カイ)第2話

 

──『デスティニーラバーズ』では、ストーリーも智弘先生が考えているのでしょうか?

 

智弘:
そうですね。僕と担当さんで打ち合わせをして、ネームを作っています。

 

──『デスティニーラバーズ』への移行後も、エロティックな部分は『デスラバ』からしっかりと引き継がれている印象を受けます。

 

智弘:
最初の十数話は少し控えめにする方針でしたが、その後は少しずつアクセルを踏み込み、エロティックな描写や話の展開を試すようになりました。

 

●モブキャラであっても、女の子は可愛く描く!

──『デスラバ』の連載中と違うところを教えてください。

 

智弘:
読者のコメントが読めることだと思います。WEB版にはコメント機能がなかったので、読んだ方の反応が分かるのはとても新鮮です。リアルタイムで感想が伝わってくると、モチベーションが上がりますね!

 

──長期連載の中で苦労したことはありますか?

 

智弘:
女の子のキャラ数が多くて、描き分けが大変なことです(笑)。現在も泣きを見ている最中なのですが、『デスティニーラバーズ』の肝は女の子を可愛く描くことですから、モブキャラであっても適当には描けません! それで、キャラが増えるたびに苦労も増えていくわけなのですが……。

 

──童貞を管理する組織・聖女機関の施設で、主人公・匠馬(たくま)が女性たちに囲まれるハーレムシーン(第82話)も、1回しか登場しない女の子を全力で描いていますよね。

 

智弘:
あそこは正直、かなり大変でした。一度しか登場しないのに、6人分のキャラデザ案を使ってしまって……。最初は少し後悔していたのですが、各キャラに『ジョジョの奇妙な冒険』風のパラメーターを作る演出をしたら、読んだ方の反応が良くて驚きました(笑)。大変だったけど、勉強になるところも多くて、実りのある展開になったと思います。

 

 

 

──『デスラバ』時代、カズタカ先生の原作で、一番印象に残っているシーンを教えてください。

 

智弘:
第10話、監獄の室温をガンガンに下げて、女の子が添い寝をしてくるシーンですね。このシリーズの方向性を決定付けるシーンだったので、印象に残っています。「そんなことあるか!」というツッコミが入るところなのですが、現実にはありえない展開を強引にやってしまうのが本当にすごい。真面目に馬鹿なエロをやるというスタンスは、『デスティニーラバーズ』になっても、できるだけ崩さないようにしています。

『デスラバ』第10話

 

──『デスティニーラバーズ』の中ではいかがでしょうか?

 

智弘:
匠馬が、童貞の解放を掲げて戦う組織・童貞解放戦線のレジスタンスキャンプに参加する「シャンバラ編」ですね。そこで匠馬は女の子の部屋に寝泊まりすることになるのですが、穂波(ほなみ)という未亡人のキャラは、匠馬が部屋に入ってきたら夫の写真を裏返して、薬指の指輪をわざわざ外すんです。いくら何でもそんなことしないだろう、と(笑)。ツッコミどころはありますが、様式美としてすごく面白かったですし、読者からの反応も良かったので気に入っています。

 

──穂波はシリーズ初の未亡人キャラですね。ベッドの中でも、胸元がぱっくり開いた過激な衣装を着て、匠馬を癒やしてくれました。

 

智弘:
いきなりこんな下着のキャラが登場しても大丈夫かと悩んだ部分はあったんです。ただ、新章に入ってキャラが一新するタイミングだったので、読者にインパクトを与えるためにも、オープンショーツでいこうと決めました。

 

──穂波さんは、夫がリア獣になって聖女機関に射殺されるという重い過去を持っているところもグッときました。

 

智弘:
エロいことばかりだと読者も飽きてしまうので、スパイスとして、ポストアポカリプス的な世界観にも触れるようにしています。あの世界には未亡人もたくさんいるはずなので、パンデミックの背景をできるだけ自然な形で見せるという意味でも、穂波は良い働きをしてくれましたね。

 

●メタファーにネーミング――エロティック表現の追及へ!

──先生がエロかわいい女の子を描く上で、意識していることを教えてください。

 

智弘:
「これだと載せられないのでなんとかしてください」という修正が、数話に一度は入るんです(笑)。どこまでOKなのか僕だけでは判断できませんが、許される範囲で、なるべくエロティックに見せる方法はいつも意識しています。

 

──そのために何か工夫をしていることはありますか?

 

智弘:
『デスティニーラバーズ』の初期では、ダムが決壊して牛乳瓶が横に倒れている……みたいなメタファーをよく使っていました。ただ、それだけでは単調すぎるので、ストレートな表現を取り入れつつ、修正チェックを受けないようなアングルを模索して描いています。

 

担当編集:
先生、修正が入らないように気をつけていたんですね……? そうとは思えないネームが毎週あがってきてますが……(笑)。

 

智弘:
ちゃんと気にしていますよ(笑)。

 

──『デスティニーラバーズ』は擬音表現もすごいですよね。黒塗りなのに何かが見えてくるような気がします。

 

智弘:
それはかなり意識しています。同じ絵でも擬音の有無で見え方が全く変わってくるので。黒塗りで隠れてしまう分、こうした要素も総動員して、なるべくエロティックに見せるよう頑張っています。

 

 

──「寸止めチョーク」や「真空手コキ」などのネーミングもすごく印象的です。

 

智弘:
寸止め地獄によって快楽の限界を突破する「寸止めチョーク」は実在する技らしいです。具体的な名前はついていないようですが、「これはどう見ても『寸止めチョーク』だろう」と思って、名前をつけました。

 

──もし「寸止めチョーク」が世に広まったら、智弘先生が名付け親としてWikipediaに載るわけですね。

 

智弘:
そうかもしれません(笑)。

 

●ハート型ニップレスのアイデアは、マガポケのあの作品から!?

──いろいろなタイプのセクシー衣装を描くにあたって、こだわりのポイントはありますか?

 

智弘:
キャラクターの体型に合わせた服を描くよう心がけています。ナース服がわかりやすいと思うのですが、スレンダーなキャラにはボディラインが強調されるワンピースを選んだり、豊満な体型のキャラにはその特徴が分かりやすいデザインのものを選んだり。

 

 

──何か参考にしているものはあるのでしょうか?

 

智弘:
実は、マガポケで連載中の『さわらないで小手指くん』からインスパイアされた衣装があって。それが、第4関門で登場するメイドの卜部(うらべ)が付けているハートのニップレスです。というのも、『さわらないで小手指くん』で、ヒロインがニップレスで乳首を隠しているシーンがあったのですが、ニップレスには修正が入ってなかったんですよ!

 

──ニップレスが黒塗りの代わりになっているんですね。

 

智弘:
ハート型のニップレスは盲点でした。『デスティニーラバーズ』でもやってみようと思って卜部にニップレスを着けたら、「ニップレスを外した後の黒塗りの方が大きいじゃないか」というコメントが多数寄せられてしまいました(笑)。

 

●お気に入りキャラは、なかなか報われない純情ヒロイン!?

──先生のお気に入りキャラを教えてください。

 

智弘:
個人的に、ラブコメもので2番手・3番手になってしまうヒロインに魅力を感じるところがあって……。そういう意味で、匠馬に片想い中のヒロイン・京(みやこ)ちゃんは、つい贔屓目で見てしまいます。

 

──確かに、京ちゃんは匠馬に「本命ヒロイン・里桜(りお)ちゃんがいるから」という理由で振られています。あまり過激なシーンも出てこないですし、どちらかというと純愛路線でしょうか?

 

智弘:
京ちゃんに関してはプラトニックな方向性で進めようと思っていて、セクシー描写は意図的に控えるようにしています。

 

── 聖女機関のキャラについてはいかがですか?

 

智弘:
寧々(ねね)は動かしやすいキャラですね。実は、『デスラバ』にも彼女は一瞬だけ登場していました。

 

──そうなんですか!?

 

智弘:
第50話、『デスラバ』の主人公・藤代(ふじしろ)が聖女島に移送される前に、リア獣予防ワクチンを注射されるシーンがあります。そこに『デスティニーラバーズ』病院編の2人が登場しているんですよ。『デスラバ』ではまだ名前も決まっていませんでしたが、意外と人気があったので、『デスティニーラバーズ』を始めるときに再登場させました。そういう意味でも寧々には思い入れがあります。まさかこんなにしっかりとしたキャラクターになるとは(笑)。

『デスラバ』第50話

 

担当編集:
読者の人気もすごく高くて、『デスティニーラバーズ』病院編の後も寧々の再登場が期待されていましたね。

 

智弘:
なので、寧々は童貞解放戦線の本部襲撃後に再登場させた経緯があります。「見抜き」のシーンで「しょうがないにゃあ…♡」と言ってもらいました(笑)。

 

──個人的には、童貞解放戦線のスパイ・麗(うらら)が、匠馬との行為後に自分で後処理をしているシーンも好感度が高かったです。

 

智弘:
ウェットティッシュで拭いているシーンですね。あの描写は、描ける余裕があったら毎回入れたいくらいお気に入りです(笑)。しかし、話のテンポ的に毎回描くわけにはいかないので、あのシーンは気合いを入れて描きました。

 

●ギャグシーンであっても、作中ではシリアスに!

── ギャグとエロの融合は『デスティニーラバーズ』に特有の空気感を作り出していると思いますが、その中でも先生の好きなギャグシーンはありますか?

 

智弘:
ギャグシーンに関しては、キャラクターがふざけ始めると、読んでいる方は白けてしまうと思うので、あくまでも真剣なスタンスを崩さないように心がけています。あからさまなギャグシーンであっても、「主人公がこの状況をどう受け止めているのか」が分かるリアクションを作り、作中ではシリアスな展開であると示すことが重要です。その土台の上でなら、ある程度はふざけても大丈夫かなと思っています。

 

──匠馬が里桜のパンツで正気を取り戻すところなど、真剣なギャグの面白さがにじみ出ています。

 

担当編集:
冷静に考えると、里桜が匠馬にパンツを渡して「受け取って 私の決意」と言っているところから、すでにギャグなんですよね。

 

智弘:
他に好きなギャグシーンと言えば、最終決戦が始まってからの究極(アルティメット)銭湯編も気に入っています。中国から来た美女・胡莎花(コシェンファ)と匠馬が謎のバトルを繰り広げるシーン。わかりやすいギャグパートでもあったので、描いていて楽しかったし、この作品の方向性をよく表していると思います。

 

●学園ラブコメは、エロを抑えてエモを出す!

──最終決戦の中で、お気に入りのシーンを教えてください。

 

智弘:
普段描かない要素を盛り込めて楽しかったのが、学園ラブコメ編のメインヒロイン・葵が登場するシーンですね。学園ラブコメ編だけ別作品に見える感じにしようと思い、担当さんとの打ち合わせでも「エロさではなく、エモさを出そう」と話していました。匠馬が葵に振られるシーンの「私達勘違いしてたの 勘違いってことにしとこ?」というセリフはお気に入りです(笑)。読者としては少し物足りない展開だったかもしれませんが……。

 

──トキメキ展開のエモ×エロはすごい破壊力だったと思います。

 

智弘:
ありがとうございます(笑)。連載が長かったからこその遊び心でもありますが、「これはそういう漫画じゃないだろ!」というツッコミが入るような面白さを感じてもらえたら嬉しいです。

 

●エロの手綱を締めて、ラストスパートへ!

──最終局面を迎えているということですが、今後の展開で注目してほしいところや見所を教えていただけますか?

 

智弘:
『デスラバ』時代からの伏線に決着をつけながら、物語を進めていくつもりです。エロとギャグの要素が強い作品は、終盤でシリアス色が強めになるとエロの比重が下がってしまうことがあるので、エロの手綱はできるだけ緩めずにやっていきたいですね。

 

──聖女機関のラスボス感を醸し出している、雷田真希(らいでん まき)のセクシーシーンなんかも……?

 

智弘:
彼女は聖女機関の象徴的なキャラクターですから、エロ要素との絡みが難しいのですが……。個人的には、どこかで実現させたいと考えています。

 

──智弘先生が現在注目しているマガポケ作品はありますか?

 

智弘:
『この世界がいずれ滅ぶことを、俺だけが知っている~モンスターが現れた世界で、死に戻りレベルアップ~』の漫画を担当している翼先生は、僕の元アシスタントなので、とても応援しています。もうひとつ気に入っているのは、御影夏先生の『ほねぬきごはん~ウブで奥手な半キュバスにハートをください~』。シュールギャグとエロの方向性では『デスティニーラバーズ』と近いものがありますが、読んでいると『デスティニーラバーズ』に足りない部分を自覚させられることもあって。今後の展開がとても気になる作品です。

 

──それでは最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

 

智弘:
これからシリーズのクライマックスが始まりますが、バッドエンドにはしないつもりです! この言葉を信じて、先の展開を読み進めていただければと思います。ご期待ください!

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