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「普通じゃない」ヒロインに注目! 『阿武ノーマル』原作・川上大和先生インタビュー

マガポケで話題沸騰中の『阿武ノーマル』。
「普通」に固執する女性・阿武英子(あぶ えいこ)の強烈なキャラクターと、想像を超える衝撃の展開に驚くこと必至の、新感覚サイコサスペンスです!

今回は、『阿武ノーマル』の原作を担当する川上大和先生にインタビューを実施。漫画家を目指した意外な理由や、初めての連載で実感していることなど、さまざまな話をお聞きしました!

 

●漫画家を目指したきっかけは、TikTok!?

──漫画家を目指したきっかけを教えてください。

 

川上大和先生(以下、川上):
実は、もともと漫画家になろうと思っていたわけではないんです。もちろん漫画は好きですし、尾田栄一郎先生の『ONE PIECE』や、大武政夫先生の『ヒナまつり』など、ハマって読んでいた漫画はたくさんありますが、「自分で漫画を描くこと」を意識したことはありませんでした。

 

──そこから漫画家の道に進まれたのはなぜでしょうか?

 

川上:
一時期、「バズりたい」と思ってTikTokにいろいろな動画を投稿していたことがありました。その中に、「100日後に漫画家になる」ことを目指して漫画の練習をしていく動画があったのですが、それがバズって「なら本気でやってみよう!」と。最初は動画のためでしたが、1ヶ月ほど描いていたらどんどん楽しくなってきて、漫画を描くことの虜になりました。

 

──漫画を描くための道具や描き方については知っていたのでしょうか?

 

川上:
何も知らなかったので、まずは必要な道具を調べて、Gペンと50枚入りの原稿用紙を買いました。描き方についてはあまり調べず、見様見真似で毎日漫画を描くことにしたんです。そして、「100日後に漫画家になる」動画の100日目に、描き上げた作品を出版社に持ち込みました。

 

──編集者の方の反応はいかがでしたか?

 

川上:
ものすごく酷評されました。それで漫画家を目指すのはやめようと思ったのですが……。悩んだ末に、もう少し描いてみようと思ったんです。

 

──漫画家を目指す気持ちが折れなかったのは、酷評された悔しさだったのでしょうか?

 

川上:
そうですね。漫画家になりたい気持ちが膨らんでいた分、自分の力不足が分かって悔しかったです。……あとは、100日目の投稿がさらにバズってしまったので、後に引けなくなったのもあります(笑)。

 

●過去作品のリメイクから、漫画原作者の道へ

──川上先生の過去作品が掲載されているサイト「あそびやコミック」(https://asobiya-comic.com)を見ると、『ZOMBIEMANリメイク』が作画の方を起用した最初の作品になります。作画の方を探そうと思ったきっかけを教えてください。

 

川上:
当時の担当編集さんに「絵が壊滅的」と酷評されたのがきっかけです。デビューできるくらいの画力を身に付けるには、2~3年練習が必要だろう、と。それを考えたときに、自分の得意なほうを伸ばして漫画原作者になる道もあると気付きました。そんなとき、漫画家のわぁーさんが声をかけてくださり、昔描いた『ZOMBIEMAN』のリメイクで一緒に漫画を作り上げることになりました。

 

──完成した作品を初めて見たとき、どのように感じましたか?

 

川上:
とても感動しましたし、自分で描くのとは違うと実感しました。このときの感動があったので、「作画の方の力を借りながら、自分は原作を書いていこう」と決意できましたね。

 

●1行のキャッチフレーズから生まれた『阿武ノーマル』

──『ZOMBIEMANリメイク』の後、2022年8月に商業デビュー、その1年後に『阿武ノーマル』の連載がスタートします。その経緯を教えてください。

 

川上:
講談社さんとは別の出版社さんからスカウトを受けて、読み切りでデビューしました。そのデビュー作を連載作品にするため準備を進めていたのですが、頓挫してしまい……。その後、週刊少年マガジン編集部にネームを持ち込み、現在の担当さんに見ていただきました。

 

担当編集:
最初に見せてもらったネームは週マガ向けではなかったのですが、川上さんの作風はマガポケに合う気がして、他の企画やネームを見せてもらいました。その中のひとつが、『阿武ノーマル』でした。キャッチフレーズのような1文だけだったのですが、とても印象に残ったんです。

 

川上:
たしか、キャッチフレーズは「この女は普通じゃない」だった気がします。

 

担当編集:
キャッチフレーズを見てすぐに、「これを漫画にできたら面白いんじゃないか?」と思いました。2022年の年末にネームを描いてもらい、2023年の頭に提出してすぐに通ったので、「新年早々いいことがあるな」と思ったのを覚えています(笑)。

 

──タイジュン先生に作画をお願いすることになった経緯を教えてください。

 

川上:
X(旧Twitter)で作画の方を募集していたのですが、あまり応募がなく……。自分で探していたところ、タイジュン先生を見つけました。絵柄を見てすぐに「『阿武ノーマル』を描いてほしい!」と思い、お声がけしたところ、快くOKしてくださりました。

 

──タイジュン先生が作画を手掛けた第1話を見たとき、どのように感じましたか?

 

川上:
「これだ!」としっくりきました。連載と読み切りでは、キャラの描き方も見せ方も全然違うので、連載を実感して感動しましたね。

 

担当編集:
特に阿武ちゃんが可愛く描かれていて、川上さんと感動していました。


──作画以外で、連載を実感するのはどのようなときでしょうか?

 

川上:
マガポケのコメント欄ですね。自分の作品を読んでくれる人がいることが分かって、嬉しくなります。Xのフォロワーも増えていて、読者の皆さんの存在を毎日感じています。

 

──『阿武ノーマル』はマガポケでも注目を浴びていますが、TikTokでバズったときの印象とは違うのでしょうか?

 

川上:
「バズ」は瞬間的に注目されますが、連載作品は継続して読んでいただきたいので、その意味では違います。読者の方の声をきちんと作品に活かさなければ、と思うので、一言一言が重く感じますね。コメントはすべて読んでいますし、Xでも「阿武ノーマル」で検索して感想を見ています。

 

●阿武ちゃんの元ネタは、変わり者の友人!?

──『阿武ノーマル』は個性的なキャラクターが出てくる漫画ですが、この発想はどのようにして生まれたのでしょうか?

 

川上:
僕の友人のエピソードがきっかけでした。その友人はとても変わっているのですが、あるとき、恋人と同棲を始めたと聞いて。そのときに、「変な人同士が同棲したら面白いことになりそう」と思い付きました(笑)。

 

──4話目以降で描かれる、阿武と阿武の恋人・河原の同棲エピソードが先に出来上がっていたのですね。

 

川上:
順番的にはそうだったのですが、ネームを作るのに一番苦労したのは、そのエピソードが出る第4~7話でした。1~3話はすんなり作れたのですが……。


──苦労した理由は何だったのでしょうか?

 

川上:
自分で作った「阿武英子」というキャラクターに振り回されたのが原因ですね。阿武は、一般的な行動や考えから外れたことをさせないといけないので、動かすのがとても大変なんです。自分の中からそのネタがなかなか出てこなくて……。「阿武を常識からどう逸脱させるか」については、きっとこれからも悩むと思います。

 

●予想外だったのは、悪役キャラの「ヒロイン化」!?

──先生のお気に入りのキャラクターを教えてください。

 

川上:
河原です! あまり賢いタイプのキャラクターではないのですが、そこが憎めなくて好きですね。登場したときは悪役だった分、阿武に振り回されても許される感じがして、作者目線でも気に入っています。行動の選択肢が多いキャラは、動かしやすいです。

 

──河原は、物語が進むにつれて悪役っぽさがなくなっていきますね。

 

川上:
読者から見て「嫌いじゃないキャラ」の位置にいてほしいと思っていたので、そこは意識しています。ですが、コメントを見ると、「河原こそヒロイン」と言われていて驚きました。そこまで愛されるとは……。予想外です(笑)。


──お気に入りのエピソードを教えてください。

 

川上:
第3話の、阿武と河原の再会シーンです。お約束のサイコホラー展開なら、阿武が河原を殺して証拠を隠滅するストーリーになると思うんです。だけど、それでは「普通じゃない」阿武を描けない。そこで、自分を殺そうとした相手に求婚するシーンが浮かびました。今まで聞いたことがないし、普通であれば絶対にありえない状況ですが、「これだ!」と思いながら自信満々に描いちゃいました(笑)。特に、追い込まれた状態で阿武が「あっ 河原さん お久しぶりです」というシーンは、笑いながらネームを描きました。


──タイジュン先生の作画によって面白くなった、お気に入りになったシーンはありますか?

 

川上:
たくさんありますが、一番印象的だったのは、第3話で河原に襲われた阿武が正当防衛を主張するシーンですね。とても好きです。それと、第1話で阿武が笑顔の練習をするシーン。まさに阿武のイメージ通り! 阿武が持つ気味の悪さを表現してくださりました。

 

 

●阿武の異常な行動と、河原の意外な成長に注目!

──今後の展開で注目してほしいところを教えてください。

 

川上:
第1話からずっとそうなのですが、やはり、阿武の異常な行動に注目してほしいです。そして、第10話以降は河原の成長にも注目してほしいですね。

 

──第4話の最後のページでは、阿武の回想シーンのような描写がありますが、そこも今後掘り下げられるのでしょうか?

 

川上:
あのシーンは、阿武の幼少時代です。阿武の横にいるのは妹で、いずれ登場するかもしれません!


──川上先生が現在注目しているマガポケ作品を教えてください。

 

川上:
『辺境の薬師、都でSランク冒険者となる~英雄村の少年がチート薬で無自覚無双〜』です! キャラクターが立っていて、とても面白いし読みやすいんですよ。そして、『阿武ノーマル』と同じ日曜日更新の作品なので、勝手にライバル視しています(笑)。

 

──最後に、『阿武ノーマル』の読者のみなさんへメッセージをお願いします!

 

川上:
いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。あまり見ないタイプの漫画だと思うので、読者のみなさんが離れてしまうのではと恐れながら描いていますが、みなさんからの応援に励まされています。今後もマガポケで、コミックスで、『阿武ノーマル』を楽しんでいただけると幸いです! よろしくお願いします!

 

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kc.kodansha.co.jp

 

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