週刊少年マガジンに掲載された「漫画家(プロ)への花道」を特別に大公開!
本連載では、マガジン誌面でプロとして活躍している〝あの〟先生、〝あの〟作品の作家に、プロの感覚、目の付けどころ、意識していることなどをインタビュー。
講談社に持ち込んだ投稿作品を、自ら審査してもらったりもしているぞ!
今回は、2019年15号に掲載された春場ねぎ先生編の前編をお届け!
『五等分の花嫁』の春場ねぎ先生
新人・春場ねぎを斬る!
『カワードクロスワールド』で第89回新人漫画賞入選を受賞。前作『煉獄のカルマ』では作画を担当。
現在は、「週刊少年マガジン」で『五等分の花嫁』を連載中。
『カワードクロスワールド』とは?
クラスメイトの人物相関図が分かるアプリ『COWARD』を利用して、クラス全員から愛されるようになった主人公・天野だったが、どうしても1人だけ自分に興味を持ってくれない女の子がいて……?
▼『カワードクロスワールド』はマガポケにて公開中! ぜひご覧ください!
読者に好かれるキャラを作る!
ーー今、過去作の『カワードクロスワールド』を読み返してみて、ご自身で評価できる部分があれば教えていただきたいです。
春場:「キャラクターを好きになれるところ」でしょうか。
まず、キャラクターの出来事に対するリアクションや感情を描いてあげて、読者に「どのようなキャラクターか」ということを伝え、その後「コイツ可愛い奴だなぁ」とか「応援したい!」と思わせるようなギャップが作れていると思いました。
ーー「好かれるキャラクター」は漫画において、なぜ 重要なのでしょうか?
春場:作品に共感してもらうためです。
興味のないキャラクターが喜んでいたり、怒っていたり、泣いていても、読者は何とも感じないと思います。
この作品にあてはめると、「主人公とヒロインの関係が進展する」というラストを迎えたとき、その結果を見た読者が共感して喜べるように、主人公のことを「応援したい!」と思わせるようなキャラクターにしました。
――この作品で言うと、その「好かれるキャラクター」を具体的にどのように表現していますか?
春場:2段階で表現しています。
まず初めに、序盤で「俺はクラスの人気者 みんなの天野尚人だ」「俺に好印象を向けないとは不届き者め……」というモノローグによって、主人公の少し傲慢なキャラクターを印象づけました。
その後2段階目として、意外と打たれ弱いところや、告白して照れてしまうシーンでギャップを作ったことで、可愛いキャラクターを作れたのではないかと思っています。
逆に、今振り返るとヒロインは若干キャラクターが疎かになっている印象を受けました。なので、もっと応援したくなるようなキャラクターにしてあげても良かったかもしれません。
⬆︎傲慢なキャラクターを序盤で見せつつも、終盤では告白して照れるギャップで「好きになれるキャラクター」に!
――たしかに主人公の天野は可愛らしいキャラクターですね。『五等分の花嫁』の主人公・風太郎も素直じゃない感じが愛らしく思えますし、ヒロインの五つ子たちも、それぞれ応援したくなります。
春場:『五等分の花嫁』に関しても同じように、ギャップでキャラクターを魅力的に見せようとしています。
最初にあえて、ヒロインたちから主人公への印象を最悪にし、「絶対に主人公のことを好きにならなそう」と読者に思わせたからこそ、主人公のことが好きになったときのインパクトを大きく出来たのではないかと思っています。
――ちなみに、春場さんはキャラクターをどのように考えているのでしょうか?
春場:僕は好きになったキャラクターを全てリストアップしていて、そのキャラクターたちの個性を組み合わせたりすることで、新しいキャラクターを作っています。
『五等分の花嫁』のヒロインたちも、たくさんのキャラクターたちの個性が組み合わされて生まれました。
⬆︎それぞれ全く違う、魅力的な個性が備わっているヒロインたち。
企画のために、
常にアンテナを張る!
――『カワードクロスワールド』の「クラスメイトの人物相関図がわかるアプリを手に入れる」という設定が、独特でとても面白いと思いました。春場さんは普段どのように企画のアイディアを得ているのですか?
春場:色々なものからアイディアを得ようと思い、普段から身の回りに「漫画に活かせるような面白いことはないか」と意識して生活しています。
『カワードクロスワールド』の人物相関図のアプリの設定も、漫画の単行本の最初のページにある「キャラクター紹介」の図を見ていて、「この人物相関図がコロコロ動いたら面白そうだな」と思い、企画のアイディアを得ました。
――「普段からアイディアへのアンテナを張っておくこと」で、現在連載中の『五等分の花嫁』でも活きたことがあれば教えていただきたいです。
春場:二乃の告白の場面です。
他の作品の「告白が別の音にかき消されて失敗する」というシーンを見て、「逆にもう一度告白させたら面白くなるのではないか」と思い、あの展開を思いつきました。
そのような突発的なアイディアは、設定がすでに複数存在している連載作品においては使える場面が少ないですが、読み切りの場合〝0〟から設定を考えられるので、使える場面がより多いと思います。
ですから、新人の方に特にオススメしたいです。
⬆︎普段からアイディアを貪欲に探しているからこそ、思いついたワンシーン。「告白が聞こえない」という定番から着想して印象的な1コマが作られた!
☆後編 へ続く!
(※この記事は週刊少年マガジン2019年15号に収録されたものです)
第102回新人漫画賞締め切りは2019年3月31日(日)当日消印有効!
新人賞の詳しい応募要項は週刊少年マガジン公式サイトをチェック!
▼漫画家(プロ)への花道【春場ねぎ先生 編】 後編はコチラ!
▼漫画家(プロ)への花道【宮島礼吏先生 編】はコチラ!
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