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別マガ ムービーガイド『騙されたと思って1本!!』〜編集部員バック編〜

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別冊少年マガジンで連載中の

別マガ ムービーガイドを特別に大公開!!

 

週マガ編集部の映画担当が、漫画家さんや編集部員のオススメ映画を聞いて、それを紹介するコーナー!

 

今回は、2017年6月号に掲載された編集部員のバック編をお届けします!

 

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名作・駄作・カルト作。アクション・SF・ラブコメディ。映画はいろいろあるけれど、まだ観てない映画をもう1本。

 

紹介された映画が気に入ったら、オマケで編集部のオススメのもう1本もご覧くださ〜い!!

 

 

さて、今月の目玉となるか。別マガチーフ、バック登場だ。

 

コム・デ・ギャルソン(オシャレ星人ご用達ブランド)に身を包み、知的雰囲気を漂わせたクールな男。ご存じ『進撃の巨人』の担当でもある。

 

そんな彼が選んだのは、意外にもパク・チャヌク監督作、〝復讐三部作〟の1本

 

『オールド・ボーイ』である。

 

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てっきり、クリストファー・ノーラン監督(『ダークナイト』『インターステラー』など)とか、デヴィッド・フィンチャー監督(『セブン』『ソーシャル・ネットワーク』など)といった、どちらかと言えば精密なタイプの監督の、計算しつくした映画を推すと思ったら、なんとドロドロ、グチャグチャのリベンジ・バイオレンス映画。

 

いやあ、人って分からないもんです。

 

ある男が、幼い娘の誕生日の夜、突然行方不明になる。

 

オ・デスというこの男、はっきり言ってダメおやじ。酔っぱらって交番に連れて行かれると、そこのごみ箱にオシッコしちゃうような男である。しかもいつも一言多い。

 

そんなダメおやじがなぜ消えた?

どこに消えた?

 

実は誘拐され、監禁されていたのだ。

 

15年間。

 

理由も分からず15年!!

 

いったい誰が、どういう目的で、どこに?

 

オ・デスは、最初こそ暴れていたが、年月が経つにつれ無感覚になってゆく。

 

自殺を試みるも、何者かが彼を死なせてはくれない。

 

部屋に置かれた〝全ては正しい道理に帰する〟という表題の付いたノートから、どうやら自分は誰かの恨みを買い、こんな目にあっているのだと気づく。

 

今までの自分の悪行をノートに書き連ねるオ・デス。

 

悪行の反省をするのかと思えば、どっこい自分をこんな目にあわせた人間に復讐を誓う始末。

 

15年後、あっさり解放されたオ・デス。

 

戸惑う彼に、ホームレスと思しき男から財布と携帯(まだスマホはない時代)を渡され、寿司屋に入るものの、なぜか意識を失ってしまう。

 

目覚めると、そこは寿司屋の女板前(かわいい)の部屋。どうもオ・デスを気に入ったらしい。それもそのはず、一言多かった男は、無口で危ない雰囲気の男に変わっていたのだから。

 

そこから、オ・デスの犯人探しと復讐が始まる。

 

監禁された場所を突き止め(この監禁ビジネス、かなり繁盛している模様。6か月以上の監禁だったら割引アリって?)ハンマー片手に無茶苦茶暴れる!!

 

その筋の男たちが山ほどいるにもかかわらず、ほとんどをノシてしまうのだ。

 

復讐心はこれほど男を強くする!!

 

自分を監禁させた人間を突き止めるため、管理人の歯をペンチで1本1本抜いていく様は、本人が自覚した通り〝怪物〟だ。

 

オ・デスは復讐を果たすことができるのか。

 

「傷ついた者に、復讐は最高の薬だ」という犯人の言葉は果たして真実なのか。

 

衝撃のラストに観る者はただ茫然とするのみだ。

 

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別マガチーフ、バックの2本目は北野武監督

 

『菊次郎の夏』である。

 

北野武監督というと、〝なんだ、馬鹿野郎!!〟とか〝殺すぞ!!〟が決まり文旬のバイオレンス映画がまず頭に浮かんでしまうが、『菊次郎の夏』は、少年とオヤジのロードムービーである。

 

ロードムービーというジャンルの映画は、昔からいろいろあるが、

 

だいたいは、

 

〝何かから逃げる〟か、

〝何かを求め〟て、旅をし、

 

〝何かを得る〟か、

〝何かを失う〟物語である。

 

この映画では、主人公の少年が求めるのは〝母親〟

 

そう聞くと、泣ける感動作かと思ってしまうが(いや、最終的にはウルっとくるんだけどね)一緒に旅をする相手が菊次郎=ビートたけしとなると……。

 

正男はおばあちゃんと2人暮らしの小学生だ。父親は事故で亡くなっており、母親はどこかに働きに出て正男とは暮らしていないらしい。

 

夏休みに入ると、学校の友達は、海とか、親戚の家とか、みんなどこかへ行ってしまう。どこへも行けないのは正男だけ。

 

そんなある日、偶然母親の居所(豊橋)を知った正男は、わずかな小遣いを手に、母親の許へ向かおうとする。が、あっさり近所の不良に捕まり、カツアゲ。

 

と、そこに現れたのが近所のおばさん。下町のおばさんだけあって(浅草界隈)不良どもを叱りつけ、正男から事情を聞き出す。

 

正男を不憫に思った彼女は、ひと肌脱ぐことに。自分の夫、菊次郎に5万円もたせ、正男を親のところまで送りとどけるように命じるのだ。

 

この菊次郎という男がまたいい加滅で(どうも無職らしい)、豊橋に連れて行くどころか、ストリップ小屋から競輪場へと正男を連れまわすのだ。

 

しかも競輪場で、正男が言った数字が偶然大当たりしたため、クラブで豪遊(もちろん正男もだ)、次の日も競輪場だ。また正男に数字を当てさせようとするのだが、当たるわけがない。あげく〝てめえなんか売っちゃうぞ!〟と逆ギレ。

 

チーフ・バックは、なぜかこのシーンが大好きらしく、それをここで書いて欲しいって。う〜ん、ほんとよく分からないチーフである。

 

さて、すっからかんになった菊次郎は、飲み屋でクダを巻いていたのだが、正男がヘンタイ男に悪戯されそうになり、さすがにマズイと思ったのか、やっと豊橋に向かいだす。(タクシー盗んだり、畑でトウモロコシ泥棒をしながらだが)。

 

北野監督の作品の特徴の1つに、ある場面から、一気に3場面くらいを省略して、オチ的な画面でストップさせるという独特な絵作りがあるが、この映画でもその手法で魅せてくれる。

 

プールサイドで、川辺のキャンプで。楽しい夏休みの情景だ。

 

さて、この2人は旅で何かを失ったのか、何かを得たのか。心に残る夏の物語である。

 

 

(※この記事は別冊少年マガジン2017年6月号に収録されたものです)

 

   

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(終わり)