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〜漫画家を目指すキミに贈る〜漫画家(プロ)への花道【日向武史先生 編】前半戦

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週刊少年マガジンに掲載された漫画家(プロ)への花道を特別に大公開!!

 

今回は、2017年13号に掲載された日向武史先生編の前半戦をお届けします!

 

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日向武史先生が、

投稿を考えていてるあなたに

 

徹底コーチング!!

 

これを読めば、

絶対に漫画での戦い方が

上手くなる!!

 

前半戦は漫画制作の基礎、

ネーム作りのエッセンスに迫る!!

 

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f:id:magazine_pocket:20171114195602j:plain「ウナギ獲り理論」で読みやすいコマ割りを!!

 

ーー漫画の基礎となるネーム作り。そこでまず新人の方がつまずくのが、コマ割りだと思います。

読みやすいコマ割りはどのようにできるのでしょうか?

 

日向:「ウナギ獲り理論」ですね。ウナギを獲るための罠のように、入り口を広くするのが大切。

 

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 ⬆︎ウナギを獲る罠がコマ割りの秘訣!?

 

具体的には、まず見開きの右ページの右上に大きなコマを割るんです。それから左下にかけてコマを小さくしていく。

 

反対に左ページは、左下にかけてコマを大きくしていき、最終コマを大きくしてあげる。そうすると読みやすくなるのでは、と思っています。

 

もちろん、漫画を読みやすくする方法は色々あります。ウナギ獲り理論はコマ割りに関してだけの話ですし、絶対のルールという訳でもありません。

右上のコマが大きくても、例えばセリフが多かったりとかゴチャゴチャとした絵だったりしたら、また話は変わってきます。

 

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 ⬆︎ウナギ獲り理論が用いられたページ。右上のコマに注目!!

 

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f:id:magazine_pocket:20171117170220j:plain漫画の時間を止めて読者を惹きつけよう!!

 

——読者の手を止めるような、面白いネーム作りにコツはありますか?

 

日向:ひとつは、「漫画の時間を止める」ことですね。

 

新人さんやアシスタントの子のネームを読むと、全ページ全コマにセリフが入っていることが多い気がします。読んでいて休む暇がなくて、マシンガンを撃たれているようなイメージ。リズムが単調です。

 

逆に、セリフはもちろん絵やアクションに一瞬「ヌキ」を作っている漫画を読むと、ネーム作りが上手だなと感じます。漫画の中にヌキのコマがあると、読んでいる人の手がふと止まって、時間が止まるんです。

 

そういうシーンがある漫画は、読みやすいというか、読者を惹きこむパワーがあると思います。 

 

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 ⬆︎日向先生が印象的だったと語る『ブルーサーマル』 の見開きシーン。

 

ーーネームのリズムに緩急をつけるわけですね。ヌキのコマは具体的にはどういったものなんでしょうか?

 

日向:『ブルーサーマル青凪大学体育会航空部』(「月刊コミック@バンチ」にて連載中)という大学航空部を描いた漫画があります。

 

その第1話で、河川敷へ主人公の女の子がただ歩いて行くというシーンを、見開きでバッと見せるんですよ。セリフも何もない……青空がばーって抜けてる見開きです。

とても魅力的な演出で、読んでいてまさに「時間が止まる」経験をしました。

 

『あひるの空』で言えば、第39巻冒頭でチャッキーが体育館に入ってくる一連のシーンがあります。まずチャッキーと無人の体育館を見開きで描き、次の見開きで、2ページとも真っ白という演出をしました。

 

あそこも、どうしてもココでヌキが欲しいと思って入れたんです。もちろん見開きを連発するとページ数がなくなってしまうので、その辺のバランスは必要かと思いますが。

 

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 ⬆︎チャッキーが体育館に入ってくるシーン。このページをめくると真っ白な見開きが広がる。

 

——なるほど。新人賞への投稿作品でこそ、ページ数を惜しまず大胆な演出に挑んで欲しいですね。

 

 

f:id:magazine_pocket:20180202145808j:plain画力向上の秘訣はネームにあり!?

 

——他にネーム作りにおいて意識されているのはどんなことでしょうか

 

日向:初期の『あひるの空』はほぼ下書きレベルでネームを描くようにしていました。

 

——それはすごいですね! どうせ後で下書きを描くんだし……。と、ラフにネームを描く新人の方は多いと思います。なぜネームの絵を丁寧に描く必要があるんでしょうか?

 

日向:絵の上達にとって一番いい練習法だからです。まず単純にネームを丁寧に描けば、ネーム作りと絵の練習ができて一石二鳥だからです。

 

それに、実は漫画で最も重要な「キャラの感情」を表現する画力を鍛えるために、ネームを描くことが一番効果的です。

 

——キャラの感情を表現する、というのは?

 

日向:キャラが喜んでいたり怒っていたり、そういう感情を表現するセリフが入ってるコマに、そのセリフにきちんと対応するような表情を描くということです。

 

時々、キャラの表情見本を何パターンも描くことで、こうしたトレーニングを行う人を見かけます。でも、そういう表情見本は、キャラの絵と言うより人形がただ口を開けていたり眉をしかめているだけの絵でしかないんです。

 

つまり、表情にシーンやバックグラウンドがない。だから表情見本を何パターン描いても、漫画の絵を描く根本的な練習にはなりません。

 

その点ネームを描けば、シーンは流れ、感情の動きも全部目まぐるしく動く。しかも、それに合わせてキャラの体の動きや背景も全部練習出来るわけです

 

もちろん人物を正確に描く能力は、デッサンなどの練習でも鍛えられます。でも、漫画を描くための画力向上については、ネーム以上の練習法はないと思います。

なのにネームで手を抜いてキャラの顔が丸に点が入ってるだけで描くなんて、とてももったいないです。

 

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 ⬆︎『あひるの空』連載第1話のネーム。空や百春のイキイキとした表情が描きこまれている。

 

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f:id:magazine_pocket:20180202151840j:plain楽をしないことが最高の近道!!

 

——ネームを丁寧に描くことには、絵の上達以外にもなにかメリットがあるのでしょうか?

 

日向:当然ですが、丁寧なネームの方が、表現したいことを他人へ正確に伝えることができます。

 

完成原稿に仕上げた時でさえ、自分の頭の中のイメージを100%表現できることはないと思います。80%、70%と必ず劣化があります。

更に、読者に伝わる段階では70%は50%くらいまで下がってしまうかもしれない。本来ある伝えたいことからどんどん遠ざかっていき、伝わらなくなる。

 

ですから、原稿はもちろんネームの段階でも、他人に読んでもらう時はなるべく100%に近付ける形でやらないといけない。

 

できれば、劣化を想定して最初から130%のネームを目指す。そういう読者への配慮を持てる人は連載までが早いと思います。

 

——友達や担当の編集者にネームを読んでもらう時は、丁寧さを特に意識した方が良いということですね。

 

日向:ただ週刊連載をしている漫画家さんが簡素な絵でネームを描くのは、時間的に仕方ない部分もあります。

でも新人の時には時間的な制約がそれほどありませんから、ネームはなるべく絵を入れて描いた方がいいんじゃないかと。

 

——新人時代だからこそ、ネームを丁寧に描く練習ができるという事ですね。

 

日向:それこそ連載が始まったら、そういう機会はなくなっていきます。鉛筆でガシガシ絵を描けるっていう期間は、意外と皆さんわからないかもしれないですけど、とても貴重なものなんだと思います。

 

 

<前半戦のまとめ>

・ネームに手抜きはNG。

・得点(チャンス)を取り逃すな!!

 

 

「後半戦」では、キャラクターとストーリーの真髄を語る! 

pocket.shonenmagazine.com

 

 

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(※この記事は週刊少年マガジン2017年13号に収録されたものです)

 

 

▼『あひるの空』第1話がWEBでも読める!

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