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黒子に徹する覚悟で挑む! 『FAIRY TAIL 100 YEARS QUEST』作画担当・上田敦夫先生インタビュー

マガポケにて大好評連載中の『FAIRY TAIL 100 YEARS QUEST』

真島ヒロ先生によるバトルファンタジー巨編『FAIRY TAIL』の続編として、2018年よりスタートした本作。“妖精の尻尾”メンバーが、100年以上ものあいだ誰も達成したことのない「100年クエスト」に挑戦する冒険譚です!

 

 

今回は、真島先生から続編の作画を託された上田敦夫先生に、本作の誕生秘話や注目ポイントなどについて語っていただきました!

 

●ライバルは漫画家のお姉さん!?

──上田先生が漫画家を目指したきっかけを教えてください。

 

上田敦夫先生(以下、上田):
もともとは就職して一般企業で働いていたのですが、その会社での仕事に面白さを見い出せず……。姉の影響もあり、23歳のときに漫画家を目指し始めました。

 

──お姉さんの影響とは?

 

上田:
姉も漫画を描いているんです。僕は漫画で食べていけると思っていなかったので就職しましたが、姉に担当編集さんがついた話を聞いて、僕も漫画家になれるかもしれない、と(笑)。姉に負けたくないという気持ちもありました。

 

──お姉さんが良いライバルでもあったんですね。

 

上田:
姉とはジャンルが違いますが、どちらが良い賞を取れるか勝負することもありましたね。

 

●真島先生は唯一無二の存在

──子どもの頃から漫画はよく読まれていましたか?

 

上田:
幼い頃は『ドラゴンボール』や『SLAM DUNK』が好きで、よく真似して描いていました。中学生になると、真島先生の『RAVE』にハマりました。絵を見るだけでワクワクして。当時の「週マガ」にはファンタジー作品がなかったので、僕にとって真島先生は唯一無二の存在でした。

 

──中学以降では漫画を真似して描くことはなかったのでしょうか?

 

上田:
そうですね。高校はテニス部でしたし、漫画の創作とはあまり縁がありませんでした。その後23歳で会社を辞めて漫画家を目指すまで漫画を描くことはなかったと思います。

 

──漫画家を目指すと決めてからは、出版社へ持ち込みに行かれたのでしょうか?

 

上田:
一番最初に講談社へ持ち込みました。他の出版社へ行くことも考えましたが、当時は社会人だったので持ち込みに行ける日が限られていて。「真島先生がいたから」と答えたいのですが、一番の理由は日程の都合が合ったからでした……(笑)。その後「マガジン」の月例賞で奨励賞をいただいたので、それを理由に「漫画でも食べていけるから、会社辞めます」と親を説得しました。

 

●医療漫画とファンタジーは予想していなかったジャンル

──デビュー作『レトリーバー・ハチ』(マガジンSPECIAL/2014〜15年)の連載が決まった経緯について教えてください。

 

上田:
25歳のときに新人賞を受賞して、連載のネームに取り掛かりましたが、最初は何を描いたら良いかわからず苦労しました。テニスもののネームを出してはボツになる状況が長く続いて、ようやく『レトリーバー・ハチ』の連載が決まったのが28歳のときです。

 

──連載につながる転機は何だったのでしょう?

 

上田:
「マガジンSPECIAL」で1位を取ったら連載できるという読切レースがあったんです。1位は取れなかったのですが、当時の担当さんと「今まででこれが一番良いよね」と話し、『レトリーバー・ハチ』の連載につながりました。

 

(『レトリーバー・ハチ』)

 

──デビュー2作目の『Dr.プリズナー』では作画を担当されています。この連載はどのように始まったのでしょうか? 

 

上田:
「週マガ」で医療漫画をやらないかと担当さんから声がかかりました。連載会議に通ったネームの作画担当が見つからず、僕のところまで話がきたようです。僕は「週マガ」で連載したいという思いが強かったので、二つ返事で「描きます!」とお伝えしました。

 

──週刊誌の初連載ということで、不安はありませんでしたか?

 

上田:
僕は医療知識を全く持っていないので、不安だらけです。でも、そのときは何が何でも「週マガ」で描きたかったのでチャレンジできました。


──スポーツものから医療ものへ、かなり思い切った方向転換だったのではないでしょうか。

 

上田:
実は「医療漫画とファンタジーだけは描かないだろう」と思っていたのですが、不思議なことに、気づいたらどちらも描くことになっていましたね(笑)。

(『Dr.プリズナー』)

 

●絵柄の違和感を消すために全力を尽くす!

──『FAIRY TAIL 100 YEARS QUEST』の連載が決定するまでの経緯について教えてください。

 

上田:
最初は「『FAIRY TAIL』のスピンオフを描きませんか」というお話でした。そこで、真島先生の絵柄に寄せた自分なりの『FAIRY TAIL』を描いたところ、真島先生に「続編描いちゃえば?」と言っていただきました(笑)。ありがたいことに、絵柄が似ていると思っていただけたようです。

 

──「続編」の話が出たとき、どう思われましたか?

 

上田:
喜びながらも、頭の中は真っ白です。「好きに描いちゃっていいよ」と言われて。もとの作品が大きすぎるので、「そう言われても……」と頭を抱えました(笑)。

 

──当初は上田先生が原作もされる予定だったのでしょうか?

 

上田:
そのようです。ただ、僕はファンタジー作品を生み出す自信がないので、担当さんに「原作者を探してほしい」とお願いしたところ、真島先生が「僕が原作をやります」と言ってくださって。真島先生は『EDENS ZERO』も連載されているので、ありがたい気持ちと申し訳ない気持ちが半々でした。

 

──『FAIRY TAIL』という人気作の続編を描く上で苦労されたことはありましたか? 

 

上田:
絵柄の違和感を消す作業です。真島先生はファンをとても大事にされている方なので、そのファンの期待を裏切らない作品にしようと思い、黒子に徹する覚悟で連載を始めました。そうしないと、どうしても絵柄に違和感が出てしまいます。

 

──上田先生の絵は、キャラの空気感やバトルの疾走感も含めて、『FAIRY TAIL』の世界をすごく生き生きと描き出していますよね。

 

上田:
本当にぱっと見が勝負だと思っています。読者の方は0.1秒くらいで絵柄の判断をされるので、そこで真島先生と比べて違和感がないと思われるように全力を注いでいます。

 

──真島先生の絵柄に似せて描くために、どのようなことを意識していますか?

 

上田:
真島先生の絵の特徴を掴みつつ、僕自身のやり方で絵に生命を入れていますが、どうしても自分の絵柄が出てしまうときがあります。やはり、自分の癖で描いたら真島先生の絵柄に全然似てないんです。なので、常に俯瞰の視点で絵を見るよう心がけています。

 

──絵柄を似せるためにしている工夫などはありますか?

 

上田:
原作とにらめっこして、「こういうときはこういう表情するんだ」とひたすらインプットしていくしかないですね。「今週は上手く描けた」と思うこともありますが、しばらく経ってから見返すと「やっぱり全然駄目だな」と感じられて……。いつもその繰り返しで、絵柄を似せるための勉強に終わりはないですね。

 

●恋愛模様に思わずニヤニヤ!

──真島先生とはどのようなやりとりをされているのでしょうか?

 

上田:
次の展開で描きたいものを訊いていただいたり、ちょっとした打ち合わせをしたりすることはありますが、基本的には真島先生からいただくネームを原稿に起こす形で進めています。

 

──打ち合わせでは、上田先生から次の展開を提案することもあるのでしょうか?

 

上田:
打ち合わせのときは意見を言うこともあります。「竜の上に人が住んでいるとかどうですか?」と提案したところ、採用していただきましたが、想像の500倍くらい大きい木神竜が出てきて……。自分の提案ですが、「これを描くのは大変だなぁ……」と思いました(笑)。

 

──上田先生のお気に入りのキャラについても教えていただけますか。

 

上田:
好きなキャラはルーシィですね。前向きで明るくて芯があって、人のために涙を流せるところが魅力的だと思います。大体ひどい目にあったり、ナツに振り回されたりしていますけど……(笑)。

 

──『FAIRY TAIL』から先の恋愛模様が見れるのも、『100 YEARS QUEST』の嬉しいところです。

 

上田:
いろいろな恋愛模様が散りばめられていますよね。グレイとジュビアの想いが溢れてくるシーンは、僕も描きながらニヤニヤしちゃって(笑)。「これはもう何が何でもカッコよく描かないといけない!」と力が入りました。

 

──2人の関係性も徐々に変化していきましたね。

 

上田:
そうなんです! 最近ではグレイから想いを返すようになってきました。僕は「グレイ、もうジュビアのこと好きじゃん! 両思いじゃん!」と思っています(笑)。グレイは「まだ自分では幸せにしてあげられない」と思っているのかもしれませんね。


──真島先生のネームを見て、驚かれることもあるのでしょうか? 

 

上田:
あります! まさかエクシードのいるエドラスへ行くことになるとは思っていませんでしたし、最近だとゴッドセレナのお話は驚きました。真島先生は驚くような展開を入れ込むのがものすごく上手なんですよね。竜も5体だと思ったら、6体目の土神竜が出てきて驚きました(笑)。

 

──上田先生も楽しみながら真島先生のネームを読まれているんですね。

 

上田:
最初の読者みたいな感じです。それは作画担当の特権だなと思います。

 

●新キャラも登場!? 今後の展開に期待!

──最新話までの展開で読者に見てほしいところはありますか?

 

上田:
それぞれのキャラの成長です。ルーシィは新しい必殺技の星霊衣合成(スタードレスミックス)を出せるようになりましたし、グレイも少しずつ自分の気持ちを言えるようになってきました。エルザは……とにかくずっと強い(笑)。

 

──ウェンディにも、作中最強クラスの魔道士・アイリーンが宿っていたことがわかりました。こちらもまさかの再登場です。

 

上田:
アイリーンが導き手になってウェンディも成長しているのが良いですよね。戦いを通じて成長していくみんなの姿は、やはり読者の方に一番見てほしいところです。

 

──『FAIRY TAIL』には「仲間の絆」という大きなテーマがあると思います。上田先生にも、そんな「絆」エピソードがあったり……?

 

上田:
そうですね……。“漫画家の絆“と言いますか、手が足りないときに、漫画家同士の関係が頼みの綱になることもあります。お世話になった先生のアシスタントさんに手伝っていただいたり、困っている方がいたら僕が手伝いに行ったり……。これが僕にとっての「絆」かなと思います。

 

──それでは最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

 

上田:
五神竜のエピソードも、残すところあと2頭分になりました。これからどれくらい続くかは真島先生にしかわかりませんが、新キャラも出てきてさらに面白い展開が待っているので、これからもお付き合いいただけたら幸いです。

 

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