週刊少年マガジンに掲載された
漫画家(プロ)への花道を特別に大公開!!
今回は、2018年41号に掲載された特別企画をお届けします!
『寄宿学校のジュリエット』
金田陽介先生が説く
読者を“キュン”とさせる
かわいいヒロインの
創り方!!
今回は、『寄宿学校のジュリエット』
の金田陽介先生が登場!
魅力的なヒロインたちを描く金田先生に、
読者をキュンとさせる秘訣を伺いました!
少年漫画を描く上で避けては通れない
“ヒロイン”の創り方に迫ります!
『氷山』で第84回新人漫画賞佳作を受賞し、デビュー。
2012年に「マガジンスペシャルSPECIAL」にて『星天高校アイドル部』を初連載。その後、2015年に「別冊少年マガジン」にて『寄宿学校のジュリエット』を連載開始。
現在は「週刊少年マガジン」に移籍し、大人気連載中。今年10月よりアニメ放送も開始するなど、看板作品の一つだ!
性格にキュン!
〜キャラは伸びしろ♩〜
ーー金田陽介先生はこれまでたくさんのかわいいヒロインを生み出してきました。キャラクターの性格や特徴はどういったところから考え始めていますか?
金田先生(以下、金田):主人公との関係性からです。
たとえば、『ジュリエット』のメインヒロイン・ペルシアは、主人公である犬塚にとってライバル的な立ち位置にいるキャラだというところから考え始めました。「ライバルなら自分の弱いところは見せたくないだろう。だからツンデレにしよう」と、ペルシアの性格は決まっていきました。
逆に蓮季は、敵が多い犬塚の仲間であり続けてほしい、犬塚を助ける立ち位置にいてほしいという理由で、健気な性格の幼なじみにしよう、と固めていきました。
他に、キャラの性格を考える上で大切にしていることは、「ダメな部分」を最初に作っておくことです。
ペルシアは「恋愛」というものをあまりわかっていないので、融通がきかないところがある。でも犬塚と付き合い始め、どんどん彼を好きになっていくうちに、それが改善されていく。
そういった「キャラの伸びしろ」を残すようにしています。
見た目にキュン!
〜フェチをつけて♩〜
ーーキャラクターをデザインする際には何を意識していますか?
金田:キャラの外見に必ず自分なりの「フェチポイント」を作るようにしています。
ペルシアだったら金髪のふわふわした髪。蓮季だったら八重歯。シャルだったら片目が隠れている……とか。
そういうフェチがないと、無個性というか、同じようなキャラになりやすいので。
他のキャラに埋もれないためには、「プラスの何か」がいると思います。
僕の場合はそれが「フェチ」でした。
【POINT】
演出にキュン!
〜ギャップで落とせ♩〜
ーー次に、キャラクター達を物語の中で動かす際には、どんなことを意識していますか?
金田:「ギャップ」を意識しています。
たとえばペルシアだったら、小柄で大人しそうな見た目に反して、ケンカが強いことを示すシーンを入れることでギャップを演出しています。
シャルはドSキャラなのに、ペルシアにだけは弱い、甘いところがあるとかですね。
ギャップを作ることで、キャラに深みが増していくと思います。
ーーその「ギャップ」はキャラ設定の段階から、考えているものなのでしょうか?
金田:キャラを作中で動かしていく中で、「こういう面が見えたらかわいいな」 とか「こんなことをしたい・させたい」という欲求が生まれてくることがあります。
その欲求から着想を得ることが多いです。
手李亞は最初に登場したとき、無口で大人しいキャラでした。そんなキャラがドヤ顔をしたらかわいいんじゃないか、ドヤ顔させたいな、という欲求が生まれ、今の手李亞になりました。
他にも、「かわいい」とは逆ですが、手李亞は可哀相な目に遭わせたくなったりもします。蓮季は、ちょっとエロい目に遭わせたくなる。
あと、これは「こんなことされたい」ですけど、シャルだったら……蔑まれたいな、とか。犬塚がよく踏まれているのはそのせいです(笑)
僕の場合、設定を先に作り込みすぎてしまうと逆に窮屈になり、キャラが動かなくなるんです。
だから、最初に、明るい性格なのか暗い性格なのか、どれくらいの身長なのかなどの、ザックリとした設定だけを決めます。
あとはネームを作りながら、こうした方がかわいいんじゃないかというポイントを付け加えています。
その方が、キャラの意外性を作りやすいなと思うんです。
決めゴマにキュン!
〜キミを見つめて♩〜
ーー『ジュリエット』は各話の見せ場にある、大きな絵、いわゆる「決めゴマ」がすごくかわいいなと思います。その「決めゴマ」をかわいく見せるために意識していることはありますか?
金田:読者が犬塚の気持ちになって、そのシーンを楽しめるようにすることです。
犬塚の視点で描くことで、ヒロインが「犬塚=読者」に向かって話している状態を作っています。
たとえば、27話「露壬雄と写真」の決めゴマである「しょーがないから、もらっておいてあげる!」の絵もそうですね。
そして何より、そのページに至るまでの流れの中で「振れ幅」を作ることが重要です。
この27話の決めゴマでも、犬塚が一生懸命撮った2ショット写真をペルシアにあげる、でもそれをペルシアに馬鹿にされる、というマイナスの流れがあるからこそ、この決めゴマが際立つんだと思います。
このように、手前でマイナスになることを描いて、それをプラスに転換させる「振れ幅」を作ることで、決めゴマの威力が上がると思っています。ここも、ギャップが大事です。
漫画家にキュン!
〜デビューを目指せ♩〜
ーー演出や設定などにおけるアイデアの源泉はどのようなところにあるのでしょうか?
金田:連載をはじめる前に「萌えノート」を作っていました。
漫画でもアニメでも何でもいいので、そこに登場したかわいいと思ったモノの絵と、それをかわいいと思った理由をノートにまとめていたんです。
そうやって言語化していくと、「あ、だからかわいいのか」という自分なりの「かわいいと思ったロジック」が見つけられるんです。それが、アイデアの源泉かもしれないです。
ーー金田先生が漫画を描くうえで、最も大切にしていることはなんですか?
金田:「自分で自分のヒロインをかわいいと思えるか」です。
たとえば、『ジュリエット』の1話目を描いている時は、自分で「かわいくない?ペルシアめっちゃかわいくない?うわ〜かわいいなぁ〜」って思いながら描いていました。ちょっと怖いですよね(笑)
でも、自分でそう思えるくらいじゃないと他の人に「キャラのかわいさ」が伝わらないと思うんです。
逆に、自分では「めっちゃかわいい」って思ったものがウケなかったらと考えると、怖い。
自分のフェチをつぎ込んでいる分、「これが伝わらなかったらどうしよう。もう漫画家は無理かもしれない」といつも思っています。
そう思ってしまうくらい、自分の「かわいい」が詰まったキャラを描くことが大事だと思います。
ーー最後に新人賞を目指すみなさんに一言お願いします。
金田:新人時代はうまくいかないことも多いと思います。僕自身、何度も賞に落ちましたし。そういうことが続くと、自分って才能ないのかなって落ち込むこともあるじゃないですか。
でも、「漫画家を目指すほど漫画が好き」ということが、すでに「才能」なんじゃないかな、と思います。
あとは自分の才能を信じて、描き続けることが大事だと思います!
頑張ってください!
新人賞の詳しい応募要項は
週刊少年マガジン
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(※この記事は週刊少年マガジン2018年41号に収録されたものです)
▼金田陽介先生の『寄宿学校のジュリエット』第1話がWEBでも読める!
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(終わり)