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【専門家に聞いてみた】『あらばしり』のお酒で癒されたい! 日本酒の楽しみ方講座

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成人の皆さま、こんにちは!
みなさんは、身も心も砂漠のようにカッサカサになってしまった時…心のオアシスを求めることってありませんか? 「潤いが欲しい……」と。

 

今回は、そんな心をケアしてくれる「漫画『あらばしり』に出てくるお酒で癒されたい」特集です。

 

漫画『あらばしり』は、爽やかなお酒が人の姿を成して現れる「擬人化日本酒 人情漫画」。人生に疲れた客人たちを"日本酒たち"がもてなし、癒し、励ましてくれるという作品です。

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いいなあ、私も潤い、欲しいなあ!(切実)

 

…というわけで、この記事で日本酒の知識を学びながら、一緒に日本酒を楽しみましょう! レッツ家呑み! さっそく本題です。

 

●最初のギモン「あらばしり」って、なに?

漫画のタイトルにもなっている「あらばしり」とは、日本酒の言葉です。

 

日本酒は、米麹(こめこうじ)から酵母を増やし、そこに蒸し米と水を加えてアルコール発酵させて作られます。
これを絞ってお酒と酒粕に分けるのですが、このときにいちばん最初に取れるお酒が「あらばしり」です。少し炭酸が残り、酸味やフレッシュさもある、爽やかなうま味が特徴と言われています。

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漫画『あらばしり』も、そんなフレッシュでさわやかなお酒たちが登場する作品ってことですね。

 

さらに「あらばしり」のあと、中間に取れるお酒が「中取り」、最後に絞り取れるお酒が「責め」と呼ばれます。一般的に前者がいちばん品質のいい部分、後者は、練られた濃厚さが魅力と言われています。

 

●基本の基本「日本酒の分類」って知ってる?

さて、お酒を楽しむ前にもうひとつ、日本酒の基本分類を知っておきましょう。
日本酒は、大きく分けて純米酒、本醸造酒、吟醸酒の3つに分けられます。
居酒屋さんで、目にしたことあるかもしれませんね。それぞれ説明しますと…

 

純米酒…お米と米麹のみを原料にしたお酒で、米の風味やうま味を直に感じられます。現在はさまざまなタイプのお酒が流通しています。

 

本醸造酒…お米と米麹で作った日本酒に、少しの造譲アルコールを加えたものです。アルコールを添加することにより、淡麗でまろやかになると言われています。

 

吟醸酒…精米歩合60%以下まで削った米(つまり、お米が40%削られたもの)を使います。それを「特別に味して造する」こと(時間をかけて発酵させるなど)で、果物のような香りやマイルドな口当たりが生まれます。さらに、精米歩合が50%以下になるものを「大吟醸」と呼んでいます。

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そして、これらの条件の組み合わせで、日本酒の基本分類がわかるようになっています。この対戦表を見れば一目瞭然…なはず!

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※この分類は、国税庁が定めた「特定名称清酒」というものです。

 

つまり「大吟醸酒」なら、精米歩合が50%以下、香りもよさそうだな…とか、「純米酒」はお米だけで作られているので雑味がなさそう…という具合です。

 

●いよいよ! 日本酒「あらばしり」の楽しみ方をレクチャー!

さて、いよいよ「あらばしり」の楽しみ方に突入です。今回は特別に、「株式会社いまでや」の利き酒師・宮代修司さんに楽しみ方をお聞きいたしました!
以下、お話を交えてお送りします。


――宮代さん、さっそくですがお願いします!


宮代さん(以下宮代):
今回は「一歩己(いぶき)」「赤武(あかぶ)」「加茂錦(かもにしき)」の3種について楽しみ方をお伝えします。それぞれ特徴のあるお酒ですから、順を追ってみていきましょう。 

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――はい、お願いします!


~~~~~~~~~~~~~~~~~

① 「一歩己」はみずみずしさを楽しむアテで 

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一歩己は、福島の豊国酒造さんのお酒です。キリっとしたキレイ目の味で飲み口がよく、じっくり味わうと甘みも感じられます。


おススメのアテは、お酒のみずみずしさを味わえる、爽やかな料理が良いと思います。
そこで、「大根とキュウリを千切りにしたサラダ」を考えてみました。


豊国酒造がある福島県古殿町は、農業と林業が非常に盛んで、今ですと夏大根が有名です。大根とキュウリを千切りにし、お出汁とお酢で味付け、そこにカリカリに焼いた薄揚げをクルトンのように乗せましょう。サクサク感もあって、爽やかな印象が与えられるようなペアリングが完成すると思います。


② 「赤武」は香りを演出する逸品と 

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赤武は、柔らかい軟水のお酒で、とろみのあるなめらかな舌触り、果実のような華やかな香りが魅力です。


赤武酒造は、もとは岩手県大槌町…三陸の海の酒蔵ですので、海の幸がペアリングにぴったりかと思い、ウニとホタテを使ったカルパッチョを考えてみました。


ホタテとウニに、オリーブオイルとレモン、もしくはスダチなどで味付けし、塩で整えます。そこに粉チーズをパラリとかけると変わった仕上がりになりそうです。
柑橘の爽快感、ホタテの食感やウニの甘みを「赤武」の果実のような香りが演出する一品です。


③ 「加茂錦」は一風変わったモダンスタイルで 

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加茂錦は、新潟県加茂市にある加茂錦酒造で作られています。
強めの甘さと酸味を感じるお酒で、黄色い果物を連想させるような、トロピカルな風味が特徴です。


おススメのアテは、加茂市で採れる洋梨「ル・レクチェ」です。
糖度が高く果肉がなめらかで芳醇な香りがします。
これを、同市で作られている生ハムで巻いて、ブラックペッパー、もしくはオリーブオイルと塩で味を整えましょう。
とろみのあるフルーティな「加茂錦」と合わせれば、食材の風味、食感と相まって、満足度が高いモダンスタイルなアテになりますね。


~~~~~~~~~~~~~~~~~


――なるほど~! 三者三様の楽しみ方ができそうですね。

 

宮代:
はい。そしてもうひとつ、ペアリングコツは、味の余韻を楽しむことです。アテを食べて、余韻を楽しんだあとに、お酒の風味を一緒に楽しむ…という感じで試してください。


――そうか、一緒に食べるのではなく余韻を合わせていくんですね。


宮代:
ええ。あとは日本酒そのものも楽しんでみてください。
日本酒は、温度によって味わいや香りが変わるお酒です。温度帯によって香り、味わいが変化します。ですから、グラスを手で温めたり、もしくは「ワイングラス」に移し変えてみたりと、酒器も色々変えてお楽しみください。お酒の隠れている香りや、味わいが発見でき、日本酒の楽しみがぐっと広がると思います。

──確かに、日本酒は温めると味がだいぶ変わりますもんね。おいしそうなレシピ、ありがとうございました!

 

●さっそくやってみよう! 「一歩己」編

さて! インタビューが終了したところで、宮代さんからお聞きしたペアリングのひとつを、実際に作って楽しんでみたいと思います。手に入れた一歩己でさっそく試してみましょう。
※宮代さんは実食せず、作品の記載やお酒の背景等を考慮したうえで、ご提案いただいたペアリングをインタビュー後にマガポケ編集部で試しております。

 

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用意したお酒「一歩己 純米酒」(原酒)

 

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福島の夏大根の代わりに、東京の大根とキュウリを用意しまして…
お聞きした作り方を参考に、アテを作っていきます!

 

トントントン…。

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カッカッカッカッカ…。

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ジューっと焼いて トントントン。

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出汁とワインビネガー、砂糖を合わせて、水を切った野菜とまぜて。

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最後にちょっとアレンジ。
かいわれ大根といりごまをパラリしまして…


完成です!

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※記事の最後にレシピを載せています。

 

●さっそく一杯やってみよう!

さあ、取材でお話を聞いて、料理もして…ついに待ちに待った瞬間です
日本酒を楽しみたい。お酒で癒されたい…。

 

この記事はそんな企画だったはず。
取材に料理に、頑張りました。もう、癒されてもいいよね。

 

ということで、いただきます!

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サラダは、だしの甘みとちょいビネガーで、爽やかな甘さに。
大根とキュウリが瑞々しいので、暑い日にもおいしく食べられますね!

 

そして、サラダを一口食べた後に、ペアリングで日本酒をちびり…。
はい、おいしい!!!!

 

一歩己は、説明通りスッキリ目のさわやかなお酒。
サラダのさっぱり甘めの余韻を、一歩己のさわやかさで整えるような感じ。

 

目を閉じると、漫画で読んだ1シーンが浮かんでくるようです。

 

遠くまで広がる若草色の水田…白い雲、青い空。
心地よい風がほおを横切る。
記憶のどこかで覚えている、懐かしい風景がここにある。

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「うんうん、ですよねー!」
…と、漫画のお客さんと話が合ってしまうような、美味しさでした。

 

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最後に、今回取材させていただいた宮代さんは、こんなこともおっしゃっていました。

 

宮代:
私は日本酒の卸しが本業なので、お酒を飲食店等のお客様にご提案することも多いんです。その際に、このお酒がどんなものか、どんなバックボーンがあるかまでを含めて、ご提案をしたいと思い、利き酒師の資格を取りました。
直接、酒蔵を訪れてはその土地の魅力や杜氏の人柄を肌で感じ、お伝えできるのがうれしいですね。

 

みなさんも、今回ご紹介した日本酒やアテを楽しむ際には、ぜひ日本各地の酒蔵に思いをはせてみてください。そして、漫画『あらばしり』も一緒に楽しんでくださいね。

 

それではみなさん…

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●特別レシピ
夏大根ときゅうりのさっぱりサラダ
(アレンジ編)

【材料 4人前】
大根  1/2本
きゅうり1本
油揚げ 1枚

<甘酢だれ>
あわせ出汁…90㏄
ワインビネガー…60㏄
砂糖…大さじ3
塩少々

<あれば>
かいわれ大根
白いりごま
―――――――――――――――――
1:大根ときゅうりを5センチ程の千切りにする
2:大根に塩をふってしばらく置き、水気をよく切る
3:出汁・酢・砂糖・塩をよく混ぜて甘酢をつくる
4:水気を切った大根ときゅうりに甘酢をまわしかけ、よくあえる
5:油揚げを低温のフライパンかホットプレートに乗せて焼く
6:カリカリになったら真ん中で半分に切り、5㎜幅程度に刻む
7:小鉢に甘酢で和えた大根ときゅうりを盛り、カリカリ油揚げを載せる
8:お好みでかいわれ大根といりごまを振って完成

 

 

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