別冊少年マガジンで連載中の
別マガ ムービーガイドを特別に大公開!!
今回は、2017年5月号に掲載された編集部員のヨシムラ編をお届けします!
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名作・駄作・カルト作。アクション・SF・ラブコメディ。映画はいろいろあるけれど、まだ観てない映画をもう1本。
紹介された映画が気に入ったら、オマケで編集部のオススメのもう1本もご覧くださ〜い!!
今月の推薦者は別マガ編集者の若者。社会人2年生のヨシムラだ。
お父さんが日本画家という、芸術家の血が流れる2年生のヨシムラが選んだ1本目は1996年に公開された
『トレインスポッティング』である。
なるほど、そうきたか。クールなイギリス映画を選ぶあたり、狙ってるねえヨシムラくん。
モノクロの俳優の写真に、蛍光オレンジのタイトルが入ったポスターは超かっこよく、当時はこのデザインをパクった印刷物をよく見かけたもんである。
公開当時の宣伝文句は、
〈〝陽気で悲惨〟な青春映画 〉。
この文句に偽りはなく、退屈に耐えられないスコットランドの若者たちがドラッグにハマり、荒むだけ荒んだ後に、主人公が仲間を裏切り、ドラッグで儲けた金を持ち逃げするというお話だ。
この話のどこが陽気なんだと驚く読者もいると思うが、監督が〝現実的で暗い映画なんか作りたくない〟とかつて宣言した通り、暗くはないのである。
シュールな絵作りとかっこいい音楽(さすがイギリス映画)、マヌケな会話で笑かしてくれるのだ。
さすが〝モンティ・パイソン〟(伝説のコメディグループ)を産んだ国である。
シュールな絵と言えば
トイレのシーンが最高だ。
なぜかドラッグ入り座薬(あるのか、そんなの!?)を使用した主人公マーク(ユアン・マクレガー)。
ご想像通り、お腹が下るのは当たり前で(しかも便秘でずいぶんため込んでいたらしい)自宅のトイレまで間に合わない!!
しょうがなく近くのパブのトイレに向かったが、そのトイレこそスコットランド一汚いトイレだった!?(これがまた 壮絶に汚い)
そこでなんとか一息つくものの、しまった、座薬が流れてしまった。
慌ててウンコまみれの(汚い話で申し訳ない)便器に手を突っ込み、流れた座薬を探そうとするが見つからない。
そこで彼はどうしたか?
なんと便器の中に頭から潜っていくのである!!
実は便器がネタになる映画はけっこうあるのだが(ほんとか!?)このシーンは、『ドリームキャッチャー』(SFホラーアクションの怪作)の便器シーンと並ぶ傑作である。
ちなみに『ドリームキャッチャー』の便器シーンとは、エイリアンを便器に閉じ込め、そのふたの上で踏ん張るという怖いシーンである。
イギー・ポップの〝ラスト・フォー・ライフ〟(この曲がめっちゃかっこいい!)に乗って4人の若者が駆け抜けるオープニング(ただ、万引きが見つかって逃げてるだけなのだが)から、ラストシーンまで、4人の若者たちのトホホな青春を一気に、まるでロックバンドのライブのように観せる。
〝人生に何を望む?
(ラスト・フォー・ライフ)〟
若者なら必ずぶつかるこの問題に、どんな答えが待っているのか?それは観てのお楽しみ。
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ヨシムラおすすめの2本目は
『スクール・オブ・ロック』だ。
主演はジャック・ブラック。日本での知名度はイマイチだが、アメリカではよく知られたコメディ俳優である。
動きのいいおデブさんで、なかなかの破壊力がある。
ギタリストのデューイ(ジャック・ブラック)はロックを愛する熱い男だ。あまりに熱すぎて、うっとうしいほどである。
ステージでも熱くなり過ぎ、上半身裸で客席ダイブ(ステージから客席にダイブして、観客に支えてもらうパフォーマンス)するものの、誰も受けとめてくれず、床に激突。
家に帰れば同居している友人ネッドと彼の恋人から、家賃を払うよう迫られる。
あげくバンドまで首に。
とどめの一撃はネッドの一言
〝いつまで夢を追いかけているんだ〟。
がっくりして家に引きこもっていると、どこからか電話が。補充教員をしているネッドに仕事の依頼がきたのだ。
お金のないデューイは、ちゃっかりネッドになりすまし、その仕事を請け負ってしまう。
補充教員として名門ホレス・グリーン学院へ向かうと、厳格な女校長を丸め込みの10歳児のクラスへ。
もちろん彼らに何かを教えたいワケでもないので、勝手にやれと生徒を放置。
そんなある日、音楽の授業で生徒たちが演奏しているのを見てデューイはビックリ!!
さすが名門校。
ギターやチェロ、ピアノと見事に弾いてる!!
そこで生徒を集めて、楽器を持たせ(もちろんエレキね)こうやれああやれと指示すると、
あら不思議
『スモーク・オン・ザ・ウォーター』(ロックの名曲)の出来上がり!!
そこからは、みなさんの想像通り、子供たちとデューイがバンド・バトルの優勝を目指して、がんばるって話である。
ここで面白いのが、子供たちとデューイの関係だ。
最初は子供たちを利用することしか考えてなかったデューイが、子供たちと音楽をやるうちに変わってくるのだ。
〝僕、イケてないからバンド辞めます〟
という生徒には
〝オレもそうだ。でもロックをやれば超人気者になれる!! 弾きまくれ!!〟
と励まし、
バンドに入れなかった子供たちにも、照明や衣装の担当をさせ、〝頼りにしてるぞ〟とやる気を引き出し、
バンド・バトルの予選で集まった大人のバンドマンたちには
〝子供たちの手本になるような行動をしろ! 責任ある大人になれ!!〟
と説教。
いい先生じゃん。
教室ではロック史を教え(こんな授業だったら受けたい!!)、 ロックの名盤を子供たちに聞かせるのだ。
まさにスクール・オブ・ロック(ロックの学校)である。
名門校で窮屈な思いをしている子供たち、自分の才能に自信を失っているデューイ、そして厳しい保護者からのプレッシャーに押しつぶされそうな女校長も、ロックすることで解放されていく!!
〝目標は優勝じゃなく、
最高のステージだ!!〟
登場人物が成長する映画って、やっぱ感動するよねえ!!
(※この記事は別冊少年マガジン2017年5月号に収録されたものです)
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(終わり)