みなさんこんにちは。
週刊少年マガジン編集部の
フジカワと申します。
私、今年で漫画編集10年になるのですが
よく新人作家さんから聞かれるのです。
「どうやったら絵がうまくなりますか?」
と…。
これね…無理なんです。
答えられない。
少なくとも僕はできない。
なぜなら
編集者は絵を日常的に描いていないから!
でも、絵がうまくなりたい、
という質問は切実なもので
それに答えられないというのは
あまりに無力。
そこで僕は考えたのです。
「自分に絵が描けないなら、
絵が描ける人に上達方法を
聞けばいいじゃない!」
というわけで、
プロの漫画家に
「絵の上達法」を聞く連載
を始めます。
新人作家さん、これを読んで、
画力をどんどん上げましょう!
読む漫画スキルアップ
第1弾 画力編
今回お話を伺うのは、マガジンSPECIALで『
(東直輝 先生)
“「絵が下手」
言われ続けた新人時代”
――というわけで、新人漫画家さん向けの連載が始まりました。東先生には、画力についてお聞きしたいと思います。
東先生は『爆音伝説カブラギ』など、原作付き作品の漫画を多く描かれています。その中で常に素晴らしい画面を提供されていますが、昔から、画力に関しては高い評価を受けていたんでしょうか?
東先生(以下、東):いえ、僕は新人の頃は、とにかく「絵が下手だ」と言われつづけてきたんです。
当時投稿していた編集部の編集長から直接「画力をどうにかしないと」と言われたくらいで。
――画力と言っても様々なニュアンスを含む言葉だと思うのですが、この時にはどういう意味合いで言われていたのでしょうか。
東:デッサン力ですね。新人作家さんが編集者さんから「画力が低いね」と言われた場合には、まずデッサン力不足を疑った方がいいと思います。
“デッサン練習、
3つのポイント!”
――デッサン力をつけるために、
東先生が行った練習方法を教えてください。
東:僕はデッサンの教本を買ってきて、それを読んで練習しましたね。
1冊でいいので、何かお手本になる本を用意した方がいいと思います。
その上で、重点的に練習したのは3つです。
「アオリの構図」、「7:3の角度」、
「読者目線の絵」
――なぜ、その3つを重点的に練習するのでしょうか?
東:まず、「アオリ」と「7:3」の2点、これは難しいからですね。
難しいから書きづらいんですけど、これが描けないと画面に幅が出ない。
だから、この2点は繰り返し練習しました。
――では「読者目線」というのは?
東:描いた漫画をより印象深くするために、読者目線の絵が必要だと考えているんです。
たとえば、主人公がキメ台詞を言ったり、あるいはヒロインから「ありがとう」っていわれた時、読者視点になっている絵が描けるとぐっとインパクトが出ます。
(左)目線を2mmズラした例
(右)目線が合っている例
微妙な違いで絵が伝える力が変わってくる。
――普段のデッサンの練習の中で、読者に対してアピールする方法を磨いているんですね。
東:デッサン力、つまり基本的な画力というのは、とにかく描けば描くだけ上がると思います。
僕はネーム(ストーリー確認用の荒い下書きのようなもの)を描く際にも、下書きと言えるくらいしっかり絵を入れていました。
絵を描く量を増やせば、デッサン力の無さから言われる「画力不足」は解消されていくはずです。
ペン入れすると絵が死ぬ!
その理由とは一体!?
――先ほど、編集者が言う「画力」はほぼデッサン力のことというお話がありましたが、東先生も画力というのはデッサン力だとお考えなんでしょうか?
東:僕自身は画力を「漫画の中のシーンシーンで、ぴったりの絵を描ける力」、それと「生きた絵を描ける力」というふうに考えています。
――「生きた絵」というのは具体的には…?
東:下書きやネームの時にすごくいい絵が描けて、いざペン入れしたらイマイチだった、という経験って、新人漫画家さんなら誰でもあると思うんです。
――! それ、新人作家さんからめちゃくちゃ聞く悩みです!!
東:それは僕の言葉で言うと、生きた絵が死んだ絵になってしまったから。
なぜ絵が死んでしまうのか、解決方法があるんです。
――その解決方法とは…!!??
つづく。
東先生に聞きたい質問を大募集。
質問は担当フジカワ ツイッターまで!
東直輝
『爆音伝説カブラギ』(原作/佐木飛朗斗)など代表作多数。
現在は新作を鋭意準備中である。
▼『爆音伝説カブラギ』第1話はコチラ
(終わり)