皆さん、「マガポケ」で連載中の「鑑定」作品
『不遇職【鑑定士】が実は最強だった~奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する~』(以下『不遇職【鑑定士】が実は最強だった』)
と
『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~』(以下『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』)
を読んでいますか?
今、この2作品が私の中で激アツなんです!!
まだ読んだことないよって方は、今すぐ読んでください!!(圧
『不遇職【鑑定士】が実は最強だった』は、
主人公・アインが世界樹の精霊・ユーリから授かった「神眼」によって、本来持っている「鑑定スキル」をパワーアップさせて……
超鑑定で“動きの軌道”を鑑定し、超遅緩状態になったモンスターを撃破!
さらには、超鑑定で倒したモンスターの能力を自分のものに!!
Sランクのモンスターも楽々倒しちゃうチートっぷりを発揮!!!
アインのこのチート具合が、めちゃくちゃ気持ちいいんです!
同じく好評連載中の『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』は、ひょんなことから弱小領地の貴族に転生した主人公・アルスが、「鑑定スキル」を用いて優秀な能力を持つ人物を見つけ出し、家臣を増やしていきます。
自らの能力は平凡なアルスでしたが、武力、魔力、知力、政治力など幅広い分野で優秀な人材を揃え、弱小領地を最強の領地へと変貌させていきます!
家臣と共に逆境から成り上がっていく様子が痛快なんです!!
そして、この主人公の2人、なんと言ってもそのチートな「鑑定スキル」でモテっぷりがすごいんです……!!
美少女に密着されるアイン、羨ましすぎる……!!!
美少女に挟まれて寝ているアルス、羨ましすぎる……!!!!!
これはもう、私も「鑑定士」になるしかありません!(?)
ということで、現実で「鑑定士」になるにはどうしたらいいか、実際の鑑定士の方に突撃!!
日本最大級の美術商「本郷美術骨董館」の代表にして鑑定士でもある染谷尚人さんに、「鑑定士」についてのアレコレをお伺いしました!
本郷美術骨董館(株式会社染谷尚人事務所)
代表取締役 美術商 染谷尚人さん
寶美術店2代目代表就任。本郷美術骨董館を設立し、北海道〜九州に店舗展開。
●リアル「鑑定士」ってどんな仕事?
――本日はよろしくお願いします。早速ですが、「鑑定士」はどうやったらなれるのでしょうか?
染谷:
『「鑑定士」は資格なんですか?』とよく聞かれるんですが、資格などは無くていわゆる通称なんですよね。厳密にいうと、古物商や美術品商は東京都公安委員会からの許可制なのですが、「鑑定士」という呼び名は通称なんです。
テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」の影響で、「鑑定士」と言った方が何をやっている人なのか分かりやすいからか、美術品商、古物商の通称で「鑑定士」と名乗る人が多いですね。
――なるほど、明確な資格(スキル)はないのですね。ところで鑑定する時は、やはり現物を直接見ることが重要ですか?
染谷:
そうですね。美術品は常に真贋の問題がつきまとうので、実際に品を見たり触ったりして鑑定しなきゃダメなんですよ。
――作中の主人公が目を光らせて鑑定しているのは、実際にも見ることが大事だからなんですね。
▲『不遇職【鑑定士】が実は最強だった』アインの鑑定時
▲『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』アルスの鑑定時
――ちなみに、数値みたいなのが見えたりとかって……
染谷:
数値は見えないですね(笑)。
●「鑑定士スキル」は理屈じゃなく感性
――「鑑定」は本物と贋作を見極める……みたいなイメージもあるのですが、見分け方についてどこかで教わったりしたのでしょうか?
染谷:
具体的に「これが贋作だよ」というようなレクチャーはありませんでした。若い頃、いわゆる丁稚奉公で師匠の雑用などのお手伝いをしながら、横で商売を見させてもらっていたのですが、とにかく商売を横で見て、本物と偽物を自分で見て覚えるんです。
――考えるな、感じろ! みたいな世界ですね。
染谷:
結局、理屈じゃなく感性なんですよね。こういう特徴があるから偽物、本物と定義しても、贋作師は本物を巧みに真似しますから(笑)。「鑑定士」って本当に理屈では表せない商売なんですよ。
――なるほど、理屈じゃなく感性……(メモメモ)。ただ、経験値がないとなかなか見分けるのは難しいと思うのですが、贋作対策はどうされていますか?
染谷:
贋作対策は業界内のつながりが大きいです。同業者同士はオークションなどでよく会うのですが、「この作家の贋作が大量に出回っているから気をつけたほうが良いよ」と注意喚起し合っています。
また、贋作が作られやすいアーティストも存在しているのですが、鑑定のプロはそのアーティストの真作(本物の作品)を何千回と昔から見ているので、贋作を見た瞬間に色使いがおかしい、構図が違うとか……インスピレーションでだいたい分かりますね。
――インスピレーション……! まさに「鑑定スキル」を発動されているような!
――贋作はひと目で見ただけでわかりますか?
染谷:
焼物は触らないとダメですね。過去に日本で人気がある李朝の壺を鑑定した際、写真では間違いなく李朝の名品だと思ったのですが、実際に持ってきてもらって持ち上げたら、軽すぎたんですよ……。
――重さが見極めの決め手になるとは盲点でした!
染谷:
本当に微妙な差なんですけどね。実際に自分のお金で売り買いしてきたからこそ、偽物をつかんでしまった時はすごく勉強するんです。そういった失敗も若い頃から何度も繰り返しているので、その経験が活きているのかもしれません。
感性を磨くためには、とにかくありとあらゆる物を見て触れなければならない。そのために世界中の美術館やオークション会場を周りましたし、膨大な数の美術全集や資料を見ました。それでもまだまだ足りないと感じています。一生研鑽を積む、終わりのない仕事ですね。
●本郷美術骨董館に眠るお宝を鑑定!
ここからは、特別に染谷さんの許可を得てお宝の山を拝見させていただくことに!
見渡す限り広がる日本画や洋画、彫刻、そして工芸品といった美術品の数々に、まるでダンジョンを巡るかのような高揚感が……!
(倉庫を物色中……)
――あ、あれは!
染谷:
あの鳥籠がどうしましたか?
――龍の眼が光っている! もしや、“精霊の義眼”では!?
染谷:
いえ、石ですね。
――はい、言ってみたかっただけです。すみません! これはどういう物なのですか?
染谷:
100年くらい前に中国で使われていた鳥籠です。当時は富裕層の間で鳥を飼うことがブームだったんですよ。すごく細かい作りになっていて美しいですよね。これとかも中々面白いですよ!
――え! 素手で持って良いんですか!?
染谷:
こういうのは手袋をしていると、かえって滑っちゃって危ないんです。
これは象牙を彫刻した物で、およそ100年前に中国で作られた作品です。パーツをくっつけているのではなく、1本の象牙からそのまま掘り出しているんです。ここまで彫りが素晴らしいのはなかなか無いんですよ!
――これは素人目に見てもとんでもない技巧で作られているのが分かります。ちなみにお値段はおいくらなんでしょうか?
染谷:
これで700万くらいですかね。
――ギョエエエエッ!? 700万~!!!(絶対素手では触れない……)
染谷:
この掛け軸もすごく美しいんですよ。ちょっと片方持ってもらえますか?
――え!? 持つ!!?
▲掛け軸が大きすぎて吊り下げることができなかったので、素手で持つことに。
――美しいという感動と、素手で持っている緊張でもうワケがわからない……。
染谷:
これも中国の作品ですが、日本のお寺に向けて明治時代に作られた掛け軸です。
――真ん中にお釈迦様らしき人物が描かれていますね。
染谷:
当時の中国人が、中国の涅槃像を描いたんでしょうね。素材は布ですが、色褪せることなく綺麗に残っています。続きまして……こんな品物はどうでしょうか?
――あ、無造作に“聖剣”が出てきちゃった!?
染谷:
これは幕末くらいに実際に使われていた刀ですね。
――刀剣って漫画では当たり前のように登場しますけど、現代社会で本物の刀を見ることってあまりないから興奮します! あれ、でも実際に使われていたということは――。
染谷:
実際に人を斬ったりしていたということですね。昔は、侍が死刑になった人の遺体で試し斬りとかもしていましたから。これはどういった用途で人を斬ったのかは分かりませんが。
(そこはかとなく背筋が凍る取材チーム一同)
――あ! こんなところに猫ちゃん!(露骨に話題を変える)
染谷:
これは、レオナール・ツグハル・フジタ(藤田嗣治)という画家が描いた絵画です。彼は世界中で名が通っている画家なので、シミがなければ500万だったんですけどね……。シミがあるから350万になりました。
――シミでマイナス150万?
染谷:
シミはプロの職人さんに綺麗にしてもらうことができるんですが、修復代に大体100万前後かかるんです。
――ちなみに、ここに来た時から“迷宮核”ばりにものすごい存在感を放っていて、ずっと気になっているアイテムがあるんですが……。
ドンッ!!!!!
染谷:
フランスの有名な彫刻家・ロダンっているでしょ? これは、そのロダンと同時期に活躍したブールデルが作ったベートーヴェン像です。
――ベートーヴェンだったんですね!
染谷:
これは僕の父が40年以上前に仕入れたものなんですが、当時店が火事に遭ってしまって……。だから少し頭が溶けているんです。戒めというか、火の用心の意味を込めてここに置いています。
――なるほど、守り神みたいですね。
●査定額は希少性だけでなく需要と供給も含めて決まる
――こういう品物って、やはり希少性が高いとその分高い値段がつくのですか?
染谷:
実は、必ずしも「希少性がある=高い」わけじゃないんです。以前、屋久杉で作られた器の鑑定依頼が来たのですが、屋久杉そのものは希少なのですごく価値があります。でも、屋久杉から作られた器やテーブルを使う人って最近はあまりいないじゃないですか。だから、価値はあるけれど査定額は安くなってしまう、というパターンもありますね。
▲アルスの婚約者リシアちゃんも、需要と供給を把握して取引の仲裁に入っていました。こういうことか……!
――なるほど。市場の供給や需要も含めて査定されているんですね。
染谷:
そうなんです。たとえば弥生土器は意外と安くて、数万円で購入できるんですよ。それより何百年も後の室町時代の壺の方が高く売買されたりしていて……。需要と供給によって取引金額が全然違うんですよね。価値はあるけど、需要がないから値段がつかないというケースも結構あります。
――最近、依頼が多い鑑定品はどんなものがありますか?
染谷:
掛け軸、焼き物、茶道具ですかね。特に茶道具はコロナ禍の影響で増えています。茶道ってお茶室に入り、お茶碗で回し飲みをしたりするので、今のご時世なかなか難しいですよね。お茶の教室が開けなくなったということで、茶道具を売りにくる方がたくさんいました。
――思わぬところで文化の衰退が……。
染谷:
逆に、現代アートはすごく盛り上がっていますね。草間彌生さんの作品はとても人気ですし、他にも若手作家の作品を集めて展覧会を開催した時は、1日で全部売れちゃいました。
――最後に、「鑑定士」を目指すにあたって、大切なことってなんでしょう。
染谷:
「鑑定士」は自分の知識がすぐに数字で現れる仕事です。例えば、これなんて読むと思いますか?
――エー・マーティンですか?
染谷:
実は昔訪れたオークションで、とある絵の下に「A Martin(エー・マーティン)」って書かれていたのを見たんです。落札価格が2〜3万円だったのですが、僕はこの絵をみた時に、以前読んだオークションカタログや作品集が脳裏によぎって、2〜3万円で取引される絵じゃないなと思ったんです。で、「A Martin(エー・マーティン)」ではなく「A Martin(アンリ・マルタン)」というフランスの画家の作品だと気づいたんですよね。
――「Martin」をマーティンと読むか、マルタンと読むかの差……!
染谷:
オークションでは3万円で購入したのですが、その後アンリ・マルタンの鑑定書が取得出来たので、最終的には2,000万円の値がつきました。
――まさに蓄積された知識が数字に現れた瞬間ですね。
染谷:
知識はもちろん、こういった数字(金額)は大企業にいたとしてもなかなか経験できない規模ですよね。また、美術商ってほとんどが個人商店なので、資本力がなくても個人の能力が全てなので、元手なし! 裸一貫でもできる! みたいな面白さもあります。「鑑定士」を目指すなら経験はもちろんですが、感性とあと度胸も必要ですね。
――貴重なお話、ありがとうございました! これで私も「鑑定士」に一歩近づけた気がします!
染谷:
頑張ってください(笑)。
今回お話を伺った染谷さんに鑑定して欲しい! という方は、以下のお問い合わせフォームからご連絡してください!
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(文/ちゃんめい、プロダクションベイジュ)