
新人漫画家さん必見!! 今回は、第116回新人漫画賞締め切り前特別企画として、漫画家先生へのインタビュー「漫画家への花道」を大公開! 『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』のヒロユキ先生が新人漫画家の悩みを解決しちゃいます!
コメディの名手が語る、漫画の作り方!!
『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』ヒロユキ先生に聞く!
型破りな発想力と、漫画を面白く見せる演出の極意!!!

週刊少年マガジンにて『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』を大好評連載中のヒロユキ先生に電撃取材! ヒロユキ先生に漫画について語っていただきました!
ヒロユキ先生Profile
1982年生まれ、石川県出身。2004年、『ドージンワーク』(芳文社)でデビュー。その後、『マンガ家さんとアシスタントさんと』(スクウェア・エニックス)などを経て、「週刊少年マガジン」にて『アホガール』、『カノジョも彼女』を連載。2025年26号より『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』を連載中。
●極意1
継続は「苦」ではなかった!!
――2004年に『まんがタイムきらら』にて『ドージンワーク』で漫画家デビューを果たし、その後も数々の人気作を連載してこられたヒロユキ先生ですが、デビュー以前の創作活動について、お聞かせいただけますでしょうか。
僕は漫画家を目指して、10代の頃から作品を描いていました。
しかし、当時は新人賞に多数応募しても、なんの賞にも引っかからなかったんです。持ち込みに行っても編集者からはっきりダメ出しを食らうことも何度もありました。お話の作り方がわからなくなって、一度漫画から離れ、アニメーターの勉強に転向した時期もあります。
――本当ですか! 人気作品をいくつも連載されているヒロユキ先生にも、そのような時期があったとは驚きです。
当時はとにかく闇雲に描いていて、デビューに漕ぎつくまでが難しかったことはよく覚えています。
描いた作品が評価されず、落ち込むこともありました。それでも、漫画で食べていくことは決めていたので、賞に何度落ちても、とにかく作品を描き続けていました。若さもあったと思いますが、継続すること自体は、苦にならなかったんです。
●極意2
一頁入魂の意識を持つ!!
――新人時代、やっておいて良かったと思われたことはありますか?
やはりウェブ活動ですね。当時は自分のホームページを作って、そこに漫画をアップロードしていました。
ホームページって、作品を多くの人に見てもらうためには更新頻度がすごく大事なんですよ。つまり、時間をかけて一気にまとめて公開するのではなく、少量のページを描いて、こまめに更新することが必要になります。
少ないページの中で読者の心を摑む内容を描かなければならず、それを頑張った結果、一ページの中で面白いことを描こうとする意識が根付きました。
連載や読み切り漫画を作る上でも、三十ページの漫画を読み進めてもらうためには、全てのページが面白くないとダメだ、ということに気づけたのは大きかったです。
その分、ネームにこだわることが多く、プロになった今でも、描くことに時間がかかることが多いんですけどね(笑)。
若い頃を振り返ると、ネームだけではなく、もっと絵を頑張って、色々なものを観察して描く癖をつけておけばよかったなと思うこともあります。
でも、もしそうしていたら、ネームの技術向上に割けた時間は確実に減っていたわけで…結果的には、これで良かったのかもしれません。
●極意3
漫画は“自分ごと”として描く!!
――ヒロユキ先生の作品は、ユニークなアイデアを題材にしている点が魅力のひとつですが、漫画のテーマは、どのようにして選んでいらっしゃるのでしょうか。
10代の終わり頃、担当編集さんから「君は漫画で何を伝えたいの?」と聞かれたことがありました。でも正直、自分には何かを表現したい、みたいな崇高な目的はないな、と思ったんです。
悩んだ結果、漫画にするテーマ自体は何でもよくて、自分が感じたことや価値観をそのまま描けばいいのでは? という考えに至りました。
極端に言えば、「うんこが臭い」というだけの題材でも、作品としては成立するのではと(笑)。
それに気づいて、卓球漫画を描くことを思い立ちました。
僕自身、卓球部だったのですが、卓球ってダサいと言われることが多いんですよ。でも実際はテクニカルなスポーツだし、ダサくはないんじゃないか、というテーマを掲げてネームを描きました。
それを当時の担当編集さんに見せたら、新人賞の佳作ぐらい取れるんじゃないか、と褒められて、気合を入れて原稿を描き、新人賞に出しました。
でも蓋を開けてみたら最終候補にも引っかからず、あれはショックでしたね(笑)。
――自分の身近な物事に対する感想や価値観を描く、という考え方は、現在連載中の『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』の作品作りにも活かされているのでしょうか?
そうですね。根底には、同じ考え方があると思います。
『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』は、「お金を上手く使って、もっと幸せに生きたい」という僕自身の願望から生まれたものです。
僕はもともとお金を使わないタイプだったのですが、漫画を描き続けるうちに収入が安定し、家を買い…最終的には高級時計などもハマって買うようになっていました(笑)。
ただ、自分の物欲のためにいくらお金を使ったとしても、幸せや満足感はだんだん鈍くなってしまうんですよ。
世の中には、もっと良いお金の使い方があるはずだし、お金によってもっとたくさんの豊かさや幸福感を得ることができるはず、とずっと思っていたんです。
そんなある日、親に時計を買って贈ったんです。ものすごく高級品というわけではなかったのですが、それから頻繁に喜んでいる顔が見られるようになりました。
このとき、人のためにお金を使うことは、自分の喜びに対して継続性があるし、すごく良いことなんだとあらためて実感したんです。
でも自分が実際に、他人のためにお金をたくさん使うことは現実的に難しい。それならいっそ、代わりに漫画のキャラにやってもらえば良いじゃん、と思ったんです。
そんな僕自身の願いや考えを色々こねくり回した結果、今の『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』が組み上がっていきました。
このように、現実で自分がやりたくてもできないことを発散させるエネルギーが創作の原点なのだと思っています。
だから、漫画を描くとき、僕は常に“自分ごと”から作るようにしているんです。生きている上で全く悩みや願いがない人なんていない。自分自身の悩みをキャラクターや設定に落とし込んでいく作業を常に行っています。
“自分ごと”で漫画を描くときのコツは、良い意味で「変な背伸びをしすぎない」ということです。
自分自身と何の関係もないキャラクターや、難しいテーマを題材にしようとしても、面白く描くのは至難の業です。例えば、僕が清廉潔白なキャラを描こうとしても絶対に描くことはできません。
まずは自分という人間を認めてあげて、どういう風に見せたらみんなが楽しんでくれるか考えながら描くことが大切だと思っています。

▲ヒロイン二人が、借金をしていた女の子(芽衣)のために、借金1億円を肩代わりするシーン。
●極意4
コメディシーンは「文脈」が命!!
――ギャグやネタが独りよがりにならないための工夫や、それらを客観視するコツがあれば教えてください。
コメディを描くときって、ただ単に変なことすればいいっていうわけではなく、大事なのは「文脈」なんです。文脈ゼロの場面で急に変なことをしても、訳が分からなくなります。
特定の状況において、とある目的を持った人間がいて、それを乗り越えるためにやる変な行動というものに、面白さとしての説得力が生まれる。
漫画を描くというより、人とのコミュニケーションとして考えると良いと思います。
会話の中で何気なくポロっといった言葉が面白い、というときも、文脈――つまり、それまでの会話の流れがあって初めて成立するものです。
このネタで笑わせるためには、前提としてこの説明は絶対いるでしょう、みたいなことを考えて組み立てるんです。
――『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』でも、文脈を意識してコメディを組み立てる工夫は、多く取り入れているのでしょうか?
第28話のネタは正にそうですね。ヒロインたちが悪徳アイドルプロデューサーにのっぴきならない事情で1千万を払わなくてはいけないシーンがありました。
オチとして、プロデューサーをパンチすることだけは事前に決めていたんです。
先に叶に釘バットを持たせて暴れさせるのですが、そこでは殴らせず、最終的には叶を一番必死に止めていた千恵にぶん殴らせて、「結局お前がやるんかい」と読者にツッコませると面白いかな、と考えながら描きました。

▲きららの活動を守るため、釘バットでプロデューサーに殴り込もうとする叶。

▲叶を全力で止めていた千恵本人が全力パンチをお見舞いするラストシーン。
●極意5
キャラクターの感情を途切れさせない!!
――テンポ良く、ハイテンションな漫画を作るためにヒロユキ先生が意識しているポイントはありますか?
読者が「なんのためにこのシーンがあるんだろう」とわからなくなる場面があると、テンポが悪い漫画になってしまいます。それを避けるために、不必要なシーンは極力入れないことを重視しています。
加えて僕が最も大切にしていることは、一話を通して、キャラクターの感情を途切れさせないようにすることです。
より実践的な話をすると、「冒頭ページでキャラクターが一話分行動するためのエネルギーを溜めておく」んです。
僕の場合、毎週16ページで連載をしているのですが、その中でも最初の5ページに、物語における、「状態」「事件」「欲求」の3点を盛り込むことを常に意識しています。
「状態」とはキャラクターが置かれている立場や状況、「事件」とは物語を大きく動かす出来事のこと、「欲求」とはキャラクターの言動の素となる目的や願望のことです。基本的なストーリーの構造として、「事件」が起こることによって「欲求」が生まれます。
これら3点を冒頭のページに詰め込むと、キャラクターの中に自然と「やるぞ!!」というエネルギーが溜まっていくんです。すると、描いている僕自身も「ノれる!!」という感覚になって、そのまま最後のページまで一気に走り切ることができます。
そうやって描いた漫画には、勢いが出ます。
冒頭で必要な情報と流れをしっかり入れておき、一話分のエネルギーを生み出す、というイメージです。そのエネルギーを原動力にキャラクターを動かしていくことで、結果的にテンポの良いシーンを描くことができます。
――週刊連載のタイトなスケジュールの中で、最初の5ページを固める作業には、実際どれくらいの時間を使っているのでしょうか?
冒頭のページはとにかく重要なので、自分が納得できるまで何度も修正を重ねます。場合によっては、最初の5ページのネームを描くだけで3日もかかってしまう場合もありますし、残りの11ページを描くより時間がかかります。
例えば、冒頭でキャラクターを凹んだ状態で出したいときは、「どう凹ませるか」を、面白く見えるまで何パターンも考えるんです。僕自身、アイデアが次々と浮かぶタイプではないので、良いものが思いつくまで、とにかく長く考え続けます。
その点、新人作家さんは比較的、時間を自由に使えると思います。だからこそ、たくさん悩んで、できるだけ面白いものを作ることにチャレンジしていただきたいです!

▲作中の随所で描かれる、疾走感あるコメディシーン。
●極意6
粘り強く技術を高めるべし!!
――最後に、これから連載を目指す新人作家さんに向けてメッセージをお願いいたします。
僕を打ちのめすような新しい作品や才能がたくさん出てきてほしいです(笑)。
…という冗談はさて置き、実際のところ、漫画家はとても良い仕事だと思います。
頑張れば必ず報われるなんて無責任なことは言えないけれど、技術や工夫でなんとかなる部分は多いです。僕自身、苦労はしましたが、色々試行錯誤を重ねてここまで来ることができました。
新人作家さんは、自分自身の作品に粘り強く向き合い、面白く描くことを意識し続けるのが大事なんじゃないかなと思います。
ゆくゆくは一緒の誌面で戦いましょう。それでは皆さん、頑張ってください!!
――本日はありがとうございました!!
こちらこそ、ありがとうございました!!
『ドリーム☆ジャンボ☆ガール』は週刊少年マガジンで大好評連載中!
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第116回新人漫画賞
特別審査員はマガポケにて『薫る花は凛と咲く』連載中の三香見サカ先生!!

締め切りは2026年3月31日当日消印有効! ご応募お待ちしております!!
ぜひ周りの人にも教えてあげてください!